技研製作所の回転切削圧入「ジャイロプレス工法」を建築領域へ初適用

技研製作所は、高知県香南市の赤岡テストフィールド内で、「ジャイロプレス工法(回転切削圧入)」を用いた基礎杭により、新工場「高知第3工場」を建設する。建築物の基礎杭に、「ジャイロプレス工法」を採用するのは初めてのことだという。

» 2019年02月15日 07時00分 公開
[石原忍BUILT]

 技研製作所は2019年2月14日、高知県香南市の赤岡テストフィールド内で、基礎杭工事に「ジャイロプレス工法(回転切削圧入)」を用いて、新工場「高知第3工場」を建設することを公表した。

圧入管理システムで圧入状況を自動計測し、科学的な施工管理を実現

 ジャイロプレス工法は、施工が完了した杭を反力としながら、鋼管杭を順次、回転圧入する工法。先端にビットと呼ばれる切削爪の付いた鋼管杭を地上から直接回転させて圧入するため、排土量を抑制し、シンプルな工程で精度の高い施工が行えるのが特徴だ。

 回転圧入して地中に貫入させるメリットとしては、従来工法では難しかった硬質地盤やコンクリート構造物などの地中障害物へ圧入施工が可能となることがある。さらに、施工機械装置は既設の杭をつかんで自立するため、転倒する危険が無く、工事の影響範囲も杭上の機械幅のみで、狭あい地や空頭制限といった厳しい施工条件でも省スペースで済む。

「ジャイロプレス工法」イメージ図 提供:技研製作所

 土木分野ではジャイロプレス工法はこれまで、堤防の補強工事などで、鋼管杭による連続壁の構築や杭径の2.5倍程度の一定間隔を空ける飛び杭施工に採用されてきた。

 今回、技研製作所の「サイレントパイラーF401-G1200」と、地上を単独で移動しながら回転圧入できるアタッチメントを用いることで、新工場の基礎杭となる単独杭54本の施工を行う。鋼管杭の杭径は直径800〜1000mm(ミリ)、杭長は15.0〜15.8m(メートル)。

 ジャイロプレス工法では、圧入管理システムにより、杭1本ごとに圧入状況(圧入力、回転トルク、圧入時間など)を自動で計測・記録する。施工と並行しながら、杭1本1本の支持力を科学的に実証するため、基礎杭の施工品質を確保することにつながる。

高知第3工場の鋼管杭基礎 提供:技研製作所

 新工場は、建物・設備含めて約7億5000万円を投じ、2019年12月の完成を目指し、2019年2月に着工した。既存の高知本社工場の約1.4倍となる延べ床面積3516m2(平方メートル)で、完成後は技研製作所の国内最大工場となる見通し。場内には、吊上荷重30t(トン)、揚程10m(メートル)の天井クレーンを2基配備し、従来機を上回る大型製品の開発・試作・検証に対応する。

新設する高知第3工場 提供:技研製作所

 敷地内に隣接する実証場では、新規開発した機械の実証試験を行い、その結果を開発部門にフィードバックすることで、開発スピードおよび製品品質の向上も図っていく。

 技研製作所では、「新工場を新規開発の拠点とするとともに、ジャイロプレス工法による建築物の基礎杭施工のモデルケースとして、土木で培ってきた技術の建築分野への応用展開につなげていく」とコメントしている。

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