中小ビルを再生する「Reビル事業」で地方初、新聞社の旧輪転機室を天井高12.6mのオフィスにリノベビル再生(2/2 ページ)

» 2019年02月05日 06時00分 公開
[石原忍BUILT]
前のページへ 1|2       

間仕切りを設けず、スキップフロアで立体的なワークスペース

 旧輪転機室の大空間は、床の一部に高低差を設けた“スキップフロア”による立体的なワークスペースに変更。人々のコミュニケーションを誘発し、多彩なワークスタイルを促す“ノンテリトリアルオフィス”とした。間仕切りを設けず、シンプルな一室の空間には、テナントが手を加える余地を残し、想像力をかきたて、ひらめきやアイデア全てが可視化され、新たな創造が生み出されるような場として設計されている。

 外構部分は、輪転機に絡み合うように配されていたインク管をモチーフとし、インクを排出制御するバルブ部分に照明やサインを配置。新聞の印刷拠点の面影を残す意匠を採用した。

 室内の導線計画では、建物所有者が継続してビルを利用するため、新たに入居するテナントととの使用区画を分けるように設定している。

旧輪転機室 平面図 出典:三菱地所レジデンス
旧輪転機室 断面図 出典:三菱地所レジデンス

 ザ・パークレックス 博多の概要は、所在地が福岡県福岡市博多区博多駅東2-16-1、敷地面積が1996m2(平方メートル)。構造・規模はSRC造、地下1階・地上7階建て、延べ床面積8514m2。改修範囲は地下1階、地上1、2、4(一部)階。

外観完成予想CG 出典:三菱地所レジデンス

 Reビル事業では、環境負荷が大きいとされる建物の解体・新築とは異なるアプローチで、既存ストックの有効利用を念頭に置く。耐震化が進んでいない築年数がある程度経った中小ビル・共同住宅のオーナーによる耐震補強工事を、三菱地所レジデンスの支援によって実施するため、既存ストックの耐震化促進が見込まれる。

 新築大型ビルの供給が増加している中、老朽化して競争力の低下した中小ビルには、テナントニーズを見定めたリノベーションやコンバージョン(用途変更)などで再生可能なものも多数存在する。三菱地所レジデンスのノウハウやスキルを活用することで、ニーズを的確にとらえた“商品”としてのビル再生が期待でき、有効なCRE(企業不動産)戦略になり得る。

 三菱地所レジデンスでは、「今後も東京のみならず、ますます増え続ける既存ストックの有効活用という社会的要請に、柔軟かつ積極的に応え、倉庫・ホテル・商業ビルといった異なるアセットタイプにも展開していく」としている。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.