連続して到来する津波の波面検知・水位推定するレーダー観測、沿岸部の防災・減災を支援防災・減災

三菱電機は、海表面の流速を測るレーダー観測で、連続して到来する津波の波面検知と、従来より正確な水位推定を実現する「レーダーによる津波多波面検出技術」を新たに開発した。

» 2019年01月29日 07時00分 公開
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 三菱電機は、2015年に発表した「レーダーによる津波監視支援技術」を高度化し、「レーダーによる津波多波面検出技術」を新開発した。新技術は、海表面の流速のレーダー観測で、連続して到来する津波の波面検知と、従来手法よりも正確な水位推定が可能になる。

海表面の流速から、連続して到来する津波の進行方向(波面)を検出

 新技術は、津波の規模を早期かつ正確に検知して、迅速な避難計画の策定を支援することで、沿岸地域の防災・減災に貢献する。今後は、2025年の実用化を目指し、大学機関と連携しつつ開発を進めるとしている。

 津波の流速情報と推定水位情報は、従来手法でも見える化はできていたが、新たに津波の進行方向を把握し、これをベースとすることで、水位をより正確に推定することが実現する。

「レーダーによる津波多波面検出技術」のシミュレーション 出典:三菱電機

 三菱電機は、2011年3月11日に発生した東日本大震災をきっかけに、津波の到来を早期に捉えるための検討をスタート。2015年には、「レーダーによる津波監視支援技術」を開発した。今回、この技術を高度化し、津波成分の見える化に加えて、連続して到来する津波の波面検知と、より正確な水位推定ができる「津波多波面検出技術」を開発した。

 従来の「レーダーによる津波監視支援技術」は、海洋レーダーで用いる短波帯電波が海表面に沿って伝搬する性質を利用し、地球の曲率により見通し外となる20km(キロ)以遠の領域で海表面の流速を観測。その中から、定常流を除去することで早期に津波成分を抽出していた。

津波監視支援海洋レーダーのイメージ 出典:三菱電機

 新技術では、流速が大きい領域が波面となる津波の性質に着目。抽出した津波成分から、津波の波面候補を複数推定し、独自のアルゴリズムで複数候補の中から、連続して到来する津波の波面を特定することで、進行方向の検出が可能になった。

 これにより、より正確な津波情報の提供が可能になり、到達時間や被害規模の推定ができるようになる。誤検出率は、0.1%以下までに低減されたという。

 また、津波の到来波面を検出することで、進行方向を考慮した津波の方程式(浅水長波理論)の適用が可能となり、従来は1m(メートル)以上あった津波の水位推定誤差を50cm(センチ)以内にまで抑える。

 新技術により、今まで以上に、津波の規模を確実につかめるようになり、迅速な避難計画の策定にも役立つ。

「レーダーによる津波多波面検出技術」と従来技術の違い 出典:三菱電機

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