構造計画研究所は、大規模施設の屋内3Dマップを高速・高品質に作成できるプラットフォーム「NavVis(ナビビズ)」を開発した独・NavVis社と、900万ユーロの出資契約を締結した。
構造計画研究所は、屋内デジタル化プラットフォーム「NavVis(ナビビズ)」を提供している独・NavVis社に対する約900万ユーロの出資契約を締結した。
NavVis社はミュンヘン工科大学の研究プロジェクトから生まれ、2013年5月に設立したドイツで急成長中のハイテクスタートアップ企業。屋内をマッピングする次世代のレーザースキャナーや、スマホから3Dの建物内観を閲覧できるビュワー、電波がつながり難い屋内でのナビゲーションシステム、機械学習技術などを開発している。ドイツ国内では既に数々の受賞歴があり、現在、ダイムラー、レノボ、ドイツテレコムなどの有名な企業の生産現場の効率化をもたらし、「Industry 4.0」をけん引する存在となっている。
プラットフォームNavVisは、デジタルツインを中心に据え、屋内空間を3次元でデジタル化して、BIMやAR/VR、IoTセンサー、ナビゲーションといった周辺の技術を駆使し、建設・リテール・製造の各分野でサービス改善や業務の効率化・高度化に活用できるプラットフォーム。Googleストリートビューのように、建物の中を高解像度パノラマ画像で360度表現し、3D点群モデルによる立体的で精緻なデジタルマップを短納期・低コストで作成できるのが特長だ。
構造計画研究所は2015年より、NavVis社の日本における販売およびソリューション展開について業務提携を交わし、建築現場でのBIM適用や施設維持管理の効率化などに役立てている。
現在では、360度の高解像度パノラマ写真と点群データで屋内空間を記録する移動式レーザースキャナー「M3 trolley」や1日に3万m2(平方メートル)を計測できる新型の「NavVis M6」をはじめ、3D空間をストリートビュースタイルで手軽に歩き回れるブラウザベースのビュワー「IndoorViewer」、コンピュータビジョン技術を用いた屋内の位置測位技術で高精度の屋内ナビをスマートフォン上で可能にする「Navigation App」のNavVisを構成しているソリューションを提供している。
2017年には、NavVisを導入した商用Webサイトとして、大塚家具のバーチャルショールームがオープン。大塚家具 新宿ショールームの7フロア分の約1万1000m2(平方メートル)の店舗をトロリーにより6時間で撮影し、約1日でデジタルマップを作成。Web上では、ディスプレイされた店内を自由に歩き回る感覚で疑似体験することができる。
スタートアップ企業の資金調達は、企業の成長に応じて「シリーズA」「シリーズB」「シリーズC」の各段階が設けられており、今回の出資は、このうちのシリーズCにあたり、商品やサービスが軌道に乗りはじめた企業がさらに成長を加速させる段階での資金調達となる。
今回の出資を機に構造計画研究所では、NavVis社との連携を強化し、NavVisの技術を社会に普及させ、同研究所が掲げる「大学、研究機関と実業界をブリッジする」という企業理念を実現させるとしている。
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