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» 2018年12月25日 07時00分 公開

コンクリートの美観向上:型枠にシートを貼るだけでコンクリ表面が“スベスベ”になる鹿島の「美シール工法」、港内工事の塩害にも対応

鹿島は、コンクリート表層品質を向上させる「美(うつく)シール工法」をコンクリート構造物の塩害に対する長寿命化を目的に、東京港内の「中防内5号線橋りょうほか整備工事」の橋台・橋脚14本の壁面約3000m2に適用した。

[石原忍,BUILT]

 鹿島建設は、コンクリート表層品質を向上させる「美シール工法」をコンクリート構造物の塩害に対する長寿命化を目的に、東京港内の「中防内5号線橋りょうほか整備工事」の橋台・橋脚14本の壁面約3000m2(平方メートル)に適用した。

内側に高撥水性シートを貼りつけて、コンクリを打設するだけの簡易工法

美シール工法で用いる高撥水性特殊シート「美シート」 出典:鹿島建設

 美シール工法は、「美しいコンクリートは品質と耐久性の高いコンクリートである」という考えの下、コンクリート表層部の「見栄え」に着目し、積水成型工業、東京大学・石田哲也教授と、2014年に共同開発したコンクリート構造物の表層品質を向上させる新工法。

 美シール工法は、あらかじめ高撥水性特殊シートを内側に貼りつけた型枠を建て込み、そこにコンクリートを打設するだけ。脱型後はシートがコンクリート側に残されることで、表面側への水分の移動が抑制され、型枠との間に水膜が生じない。コンクリートの表面を一度も外気にさらすことなく、コンクリートが自ら持つ水分で自らを保水養生し、長期間にわたって湿潤状態を保つ。このため、コンクリートの表面気泡が低減し、表面の緻密な仕上がりが期待できる。

通常の「型枠」と「美シール工法」の違い 出典:鹿島建設

 今回適用した東京都港湾局発注の「2015年度中防内5号線橋りょうほか整備工事」(施工者:鹿島・IHI異業種特定JV)では、構築する橋台と橋脚が東京港内に位置し、塩害に対する高い耐久性が求められることから、美シール工法を採用。橋りょう工事における橋台・橋脚14本の壁面部約3000m2に導入した。

シート撤去時の状況(左)、気泡の低減効果(右) 出典:鹿島建設
表面気泡面積率(左)、透気試験結果(右) 出典:鹿島建設

 美シール工法を施した表面は、従来工法に比べ表面気泡が約5分の1程度に低減し、より緻密になることを確認。また、美シール工法で最長80日間養生した表面と従来工法を用いた表面を対象に、透気試験(空気の通り易さを指標とした試験)も実施し、その結果、美シール工法の表面は、透気係数ランクが「良」となり、コンクリート表層部がより緻密で高い耐久性を有することが検証された。

 鹿島建設によれば、今回の適用で、美シール工法の実構造物への累計適用実績は約7200m2に達したという。これまでの実績全てにおいて、コンクリート表層品質の向上効果を定量的に把握。今後も、橋梁(きょうりょう)やボックスカルバートなど、各種構造物に美シール工法を積極的に展開し、コンクリート構造物のさらなる品質向上と長寿命化に取り組んでいくとしている。

橋台・橋脚のシート撤去後の状況 出典:鹿島建設

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