MR技術により現場で完成イメージを重ね見ながら土木測量、アセス

測量システムのアセスは、土木に特化したMR・VR技術の応用を試みる。MRでは1/1スケールの完成イメージを見ながらの測量サポート、VRでは現地に足を運ばなくとも現況確認が可能なシステムを構築中だ。

» 2018年11月16日 08時00分 公開

 アセスは、土木測量に特化したMR(Mixed Reality)とVR(Virtual Reality)技術による新システムを構築。2018年10月17〜19日に東京ビッグサイトで開催された「Japan Robot Week 2018」で参考出品した。

 MR技術では、土木測量のサポートをテーマにシステム構築を進める。まず、スタティック観測による座標を基準に地上型レーザースキャナーで点群データを取得し、その点群一つ一つが持つ独自のXYZ座標軸から現況状況を示す3Dモデルを作りこむ。

 これと同時進行で、発注元から提出された図面をもとに、工事計画のCIMモデルも作成。CIMをベースにすることで現場に応じた必要な仮設図・床伏図・躯体図・完成図(平面図)などの提供が可能となる。高精度な“現況”と“計画”の3Dモデルを比較検討することで、土量計算や施工手順、高低差などの確認が容易になる。

photo 現況と計画双方のデータを詳細比較

 同社システムの独自性は、これらの3Dモデルを複合現実のMRデータに変換し、実際の現場で投影可能にした点である。これにより、1/1スケールによる完成イメージのMR映像を現実の風景に重ねながら作業が行えるため、経験や知識の浅い社員、ひいては新入社員でも容易に測量ができるような仕組みとした。

 機器には、マイクロソフト社のMRデバイス「HoloLenz(ホロレンズ)」とインフォマティクスの建設用ソフトウェアを採用。3Dモデルの映像マーカーと実際の座標を精密にリンクさせることで、正確な現在位置に合わせた投影を実現している。これまでにダムや橋梁の測量で試験的に導入されているという。

photo ダムのVR体験。後ろのモニターが視界の映像

 一方、仮想現実のVRでは、現場監督が実際に足を運ばなくとも、事務所などの屋内施設から現況を把握できるようにしている。ハードにはHTC社のVIVEシリーズを採用。ヘッドマウントディスプレイの目線にあたる位置には、オリジナルソフト搭載の専用レンズを装着している。これにより、VR体験者は仮想現実だけではなく、周囲の必要なリアル映像も同時に見ることを可能とした。具体的には、VR体験者の周りに人や壁が接近したらレンズのオリジナルソフトで識別し、VR映像に取り込むなどMRに近い機能も備えている点が先端的だ。

photo 専用レンズを搭載したヘッドマウントディスプレイ

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