公共土木工事の設計段階で、一定規模以下の施工において今後はプレキャストコンクリート製品の採用が前提となる見込みだ。先ごろ開かれた「コンクリート生産性向上検討協議会」の第7回会合でプレキャストコンクリート前提の積算手法確立について議論が交わされた。
先ごろ開かれた「コンクリート生産性向上検討協議会」の第7回会合で、プレキャストコンクリート製品の採用について議論が交わされた。プレキャストの採用は、費用や労力の面で一定程度の有益性が確認されており、国土交通省は積算価格や地域性を加味しながら、その採用を前提とした現場打ちとの比較検討手法を確立し、指針や通知などで適用を図っていく考えだ。これまでの会合の検討状況を振り返ってみた。
プレキャスト製品の普及に向けては従来、土留め工や降雪地の仮囲いなど仮設費を含めた経費をトータルで比較し、現場打ちとの選択を考慮していくように検討項目が整理されてきた経緯があった。しかし、依然として現場打ちが優位に評価されることが多かったり、そもそも比較検討する労力など、負担が大きかった。
そこで、一定規模以下の製品については、設計段階でプレキャストの採用を前提とした検討手法を確立させるとの方針が打ち出されることになった。なかでも、「ボックスカルバート」と「擁壁工」については、施工実績、汎用性を踏まえて、その方向性を推し進めるというものだ。
会合では、「プレキャストコンクリート構造物に適用する機械式鉄筋継手工法ガイドライン」の案が、関連する委員会で検討されていることを紹介した。2018年9月にはその案が作成され議論に供されているという。同ガイドラインでは、プレキャスト部材を用いて造られる構造物に「機械式鉄筋継手工法」を適用するにあたり、機械式鉄筋継手の設計、施工上の留意事項について示すとしている。
プレキャスト部材特有の課題は、鉄筋継手が一断面に集中すること。載荷試験による確認では、継手単体で母材の鉄筋と同等以上の強度をもつ機械式継手を用いた場合、部材の耐力や剛性への影響はほとんどなかった一方、密に配筋するとひび割れの分散性に劣るおそれがあった。
「プレキャストコンクリート構造物に適用する機械式鉄筋継手工法ガイドライン」では、この載荷試験で得られた課題に基づき、機械式鉄筋継手を同一断面に配置した部材について、鉄筋継手がない場合と同等とみなせる耐荷性状(耐力、剛性、ひび割れ挙動)を実現できる条件などを示す。また、機械式鉄筋継手工法を用いた施工方法の例を示し、機械式鉄筋継手の信頼性を確保するため、施工時に確認すべき項目などを示す。
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