共和電業は、遠隔かつ非接触で、大型インフラ構造物の長期連続モニタリングを可能にする高精度カメラを開発した。新型カメラは、観測場所を選ばず、1台で奥行き方向の“変位測定”もできるため、全国に多数あるとされる老朽化した橋梁(きょうりょう)や道路、鉄塔の維持・管理において、業務効率化や省人化を図ることができる。
センサーや計測器、計測システムを製造している共和電業は、橋梁など大型インフラ構造物のモニタリング用高精度カメラを開発し、販売をスタートさせた。
新型カメラは、各種構造物の奥行き方向を含むXYZ方向の微小変位測定を1台のカメラで行うことができ、多点同時に高速で測定するサンプリングモアレカメラ。設置場所を限定しない遠隔・非接触の方法で、橋梁などのインフラ構造物のモニタリングが実現する。
カメラは、対象物から離れた場所で測定するため、河川橋や跨線橋などの橋梁下部といったアクセスや機器の設置が困難な場所でも測定可能で、モニタリングしている期間中の通行規制をする必要がないため、道路などの利便性低下も生じない。アルゴリズムも新開発し、従来は2台のカメラを必要とした画像の奥行き方向(視線方向)の変位を測定する「面外変位測定」を1台で可能にした。
撮影スピードも、1秒間に500コマを撮影できる500fps以上(単点測定の場合最大1000fps)の性能で、構造物の固有振動数の変化や高速車両通行時の橋梁や床版たわみなど、動的変位のピーク値も逃さず捉える。測定中の変位データは多チャンネルで同時モニタリングするため、収録データの異常や構造物の現況を現場で確認することができる。そのため、測定のやり直しなど、データ処理・解析までの手戻りを防ぎ、メンテナンス業務全体の効率化につながる。
長期連続モニタリングに対応した定点観測モードでは、24時間以上の無人連続測定にも対応。年間を通した構造物の変状測定や災害発生時の遠隔監視システム構築も可能だ。
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