ヒューマンタッチ総研は国内における建設業の人材市場動向をまとめた8月のマンスリーレポートをリリース。働き方改革で2024年4月には残業の上限規制が建設業にも適用されるため、残業過多の建設業界には解決すべき喫緊の課題となるとしている。
人材紹介業を行うヒューマンタッチが運営するヒューマンタッチ総研は2018年8月23日、国内の建設業界における人材市場動向の8月分月次レポートを公表した。
レポートによると、2018年6月29日に成立した「働き方改革関連法」は、建設業界の労働環境に大きな影響を与えると予測。とくに2024年4月1日から適用される残業上限規制は、36(サブロク)協定を結べば事実上、青天井になっている残業時間を抑制する初めての法的な強制力のある規制。
規制内容は、残業上限を原則月45時間かつ年360時間以内、特別な事情がある場合でも年720時間、単月100時間未満と定め、違反企業には罰則が科せられるようになる。今までは残業時間規制の対象外であった建設業でも、5年間の猶予期間後、2024年4月1日から適用される。
厚生労働省の「毎月勤労統計調査」では、建設業における常用労働者1人当たりの年間実労働時間は、製造業や情報通信業を上回って推移しており、時間短縮も進んでいない。そのため、働き方改革に向けた取り組みは、建設業界の各社にとって重要かつ迅速な対策が求められる課題として、2024年を見据えて早急に対処する必要があるとした。
建設業界の最新雇用関連データでは、就業者数は513万人で、前年同月比で101.8%と、2018年に入って一度も前年同月を下回ることなく、6カ月連続でプラスだった。公共職業安定所(ハローワーク)の新規求人数は、7万4052人で、同比104.2%と23カ月連続で前年同月を上回り、建設業界の人材需要は活発な状況が続いていることがわかった。
ハローワークの新規求人数のうち、建築・土木・測量技術者(パート除く)の有効求人倍率は、前年同月比で0.44ポイント上がり、5.61倍。37カ月連続で前年同月を上回り、厳しい人手不足の状況は変わらずに長期化していることがうかがえる。有効求人倍率の先行指標となる新規求人倍率を見ると、2018年に入って最も高い8.77倍だった。
また、建設・採掘の建設技能工(パート除く)は、有効求人倍率が前年同月比0.93ポイント上昇の4.85倍。38カ月連続で、前年同月を上回り、建設技能工についても厳しい人手不足の状況にあることが判明した。
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