デンソーは、新型産業用ドローン(UAV)による測量・橋梁(きょうりょう)点検システムの提供を2018年秋から開始する。2018年7月18〜20日に東京ビッグサイトで開催されたメンテナンス・レジリエンスTOKYO 2018内の「第10回インフラ検査・維持管理展」で実機を初公開した。
デンソーは、可変ピッチ機構搭載の回転翼6枚による新型産業用UAVを発表。併せて、同UAVを活用した測量・橋梁点検システムの提供を2018年秋からスタートすることも明らかにした。
新型産業用UAVは、回転翼を従来の4枚から6枚に増設し、一層の安定飛行が図られている。デンソーの特徴である「可変ピッチ機構」も搭載し、風速10m/s(メートルパーセカンド)に対応する耐候性能を確保している。可変ピッチ機構は、同社が2016年4月に他社に先駆けて開発。プロペラのピッチ角と回転数を、翼が独立して制御することで、翼ごとに上下推力を発生させる。上昇側の揚力だけではなく、下降側の力も可変できるため、固定ピッチよりも優れた定位性能を実現。風に煽られた場合でも、固定ピッチのように数秒もかからず瞬時に元の姿勢へ復元する。更に、真下への素早い下降も可能にするなど、運動性の高さも大きなウリになっている。
AVには、同社が自動車産業で長年研究を続ける衝突防止の機能も活用されている。機体の上下前後左右に距離センサーを搭載し、対象物と1.5m(メートル)の間隔を維持する高い近接性能も持つ。仮に、衝突しそうになった場合でも、可変ピッチ機構によって瞬時に体制を変えて防ぐことができる。
スペック詳細は次の通り。体格1500×1500×520mm(ミリ)、プロペラ径18インチ×6ローター、重量9.0kg(キロ)、ペイロード(積載量)3.0kg、飛行時間15分。
デンソーでは、この新型産業用UAVによる測量・橋梁点検システムを2018年秋をめどに提供する予定。同社が2018年4月に出資した測量機器販売・レンタル会社の岩崎と共同で、国交省が推進するロボット技術による「i-Construction」に対応すべく、2大ソリューションを提供していくという。
一つは、新型産業用UAVの姿勢安定性と耐風性を生かした高効率・高精度の「UAV測量」で、1.5mの近接撮影によって橋梁などのインフラ点検時には0.1mmのひび割れも検知する。もう一つは、撮影データをもとに3次元画像の生成から土量解析、報告書作成まで行う「解析サービス」である。なお、何千枚にも上る撮影データは、ディープランニングで自動仕分けされる。
同社では、この2大ソリューションをもとに、橋梁などのインフラ点検における測量から解析までワンストップサービスとして提供し、建設現場の作業効率化に寄与していきたいとしている。
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