ドローン測量を効率化する空中測量専用機をDJIとトプコンが発売メンテナンス・レジリエンスTOKYO 2018

DJI JAPANとトプコンは、地上に標定点の設置が不要となる測量システム「TSトラッキングUAS」に対応したドローン機体を発売した。2018年7月18〜20日に東京ビッグサイトで開催された「メンテナンス・レジリエンスTOKYO 2018 第2回i-Construction推進展」で実機が披露された。

» 2018年07月20日 06時00分 公開
[石原忍BUILT]

 ドローンメーカーのDJI JAPANと、測量機器メーカーのトプコンは2018年7月18日、測量機のトータルステーションでドローンを自動追尾することで、「標定点」を必要としない、大幅な省力化を実現する空中写真測量システム「TSトラッキングUAS」に対応する専用ドローン「MATRICE 600 PRO for TS」を発売した。

地上の標定点が不要となり、従来に比べ6倍の作業効率化

DJI社の「MATRICE 600 PRO for TS」=7月19日、i-Construction推進展

 TSトラッキングUASは、ドローンに搭載したカメラに専用のプリズムを取り付け、自動追尾型トータルステーションで連続測定することで、カメラ位置を直接計測できる手法。システムはドローン機体、測量機トータルステーションユニット、3D点群処理ソフトウェアで構成する。

 この手法では、これまでカメラの3次元位置を測定するために、技術的知見や経験を基に地上に設置していた複数の標定点設置が不要となった。このため、従来に比べ、最大6倍の作業効率の向上が図れるという。専門的な知識を必要とせずに安定した測定精度が実現し、従来の課題を解消する画期的な測量システムといわれる。

「MATRICE 600 PRO for TS」の測量イメージ 出典:トプコン
従来の測量とTSトラッキングUASの比較 出典:トプコン

 このシステムは、国土地理院が2017年3月に改訂した、ドローンによる空中写真測量の作業要領に記載された「カメラ位置を直接計測できる手法を併用する場合は、標定点の設置は不要とすることができる」に対応した初のシステムで、トプコンが特許を取得している。

トータルステーションユニット「SOKKIA iXシリーズ」=7月19日、i-Construction推進展

 2018年に国土交通省が定めた「空中写真測量(無人航空機)を用いた出来形管理要領(土工編)(案)」「空中写真測量(無人航空機)を用いた出来形管理の監督・検査要領(土工編)(案)」にも対応。NETIS(新技術情報提供)システムに登録され、i-Constructionでの用途に限らず、さまざまな測量/建設現場で、高精度で高効率な写真測量を可能にする。

 専用ドローンユニットは、Matrice 600 ProシリーズのUAV機体、シャッターロガー装置、カメラ本体、タイムラプス(低速度撮影・微速度撮影)アプリケーション、35mm(ミリ)レンズ、カメラプリズムアダプター、FPVカメラから成る。トータルステーションユニットはTOPCON GTシリーズ、SOKKIA iXシリーズ、オンボードプログラム「LPS UAV」。3D点群ソフトウェアは「MAGNET Collage UASキット」。

 機体は、DJI JAPAN正規販売代理店の日本サーキットが製造する。販売は、全国のトプコンの正規販売代理店が扱い、オープン価格で2018年7月18日から販売を開始する。

 空中写真測量に関するトレーニングはdo、事故などの保険サービスについては、三井住友海上火災保険が専用保険パッケージを提供する。販売からトレーニング、アフターサービスまで一貫したサポート体制を提供することで、測量/建設現場において、ドローンを効率よく安全に使えるようにサポートする。

取得した点群データとドローンの飛行軌跡=7月19日、i-Construction推進展

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