米YouTube本社に導入されたデジタルサイネージ管理システム、「顔認識」で次の一手Instagramの投稿画像を配信(3/3 ページ)

» 2018年07月18日 06時00分 公開
[石原忍BUILT]
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人物とDSの距離などから信頼指数を判別し、データの精度を担保

サガシキ・渡部氏

 新機能の「顔認識システム」は、エンプラグ デバイスにつないだオムロン製のカメラで、1〜2秒毎に任意の方向を撮影。カメラと一体になったチップ上で数値化し、データをクラウドに上げる。個人情報保護の観点から、撮影された写真はチップ上にある段階で消去される。チップ上での処理にはもう一つ理由があり、店舗などが密集している場所などは通信環境が悪いため、これにも対応する意図がある。

 写真から解析するデータは、性別、年齢、目線、顔の角度(縦・横・ロール)。顔の大きさや角度からは、DSにどのぐらい近づいているかを判別し、それぞれのデータがどの程度信用に足るかの信頼指数もデータとして合わせて表示される。

 渡部氏は顔認識システムの活用方法について、「現状では、視認率に応じてコンテンツを変えるのは、数歩先の話で、まだ現実的な話ではない。コンテンツのストックが絶対的に不足しているためだ。それよりも、DSの立地判定に役立ててもらいたい。例えば、通りよりもエレベーターホールの方が人は立ち止まるので、視認率が確実に高いことはよく言われることだ。施設の入り口に設置する場合も、内側に向けるか外側に向けるかなど、DSのロケーション判定を行ってもらいたい」と説明する。

顔認識システム 検知結果の生データ。中央に数値がある部分が人を認識したポイント
顔認識システム 検知結果の表示例
カメラ・チップとエンプラグ ※便宜上、プラスチックケースに入れているが、実際にはDSにそのまま取り付けることも

 エンプラグの筐体はクラウドで識別しているため、デバイスを新しく入れ替えても、クラウド上の設定を入れ変えるだけで済む。先行してエンプラグを導入したDSでも、顔認識システムの後付けやデバイスごとの入れ替えは可能だ。

 渡部氏は、エンプラグの販売戦略について、「本格的な販売が遅れたこともあり、小売・チェーン系向けに、今期は1000台を目標としたい。次の一手として、純広告向けの配信アプリの開発を考えている。日本の市場では、広告を細かくコントロールしたいという要望が根強く、競合する広告主をバッティングさせないなど、広告内容ごとに配信スケジュールが組める機能を拡充させたい。これに顔認識を連動させて、広告効果の可視化を図っていければ」。

 エンプラグ自体の価格は1台2万9800円。本体以外に、ACアダプター、HDMIケーブル、USB Wi-Fiアンテナが含まれる。他にクラウドや管理システムのライセンス利用料は、1デバイスごと月額1万1800円。これにおよそ月額1000円プラスで、顔認識システムが利用可能となっている。

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