宇都宮駅東口のPPP方式による再整備計画で、優先交渉権者に野村不動産を代表とするグループが選定された。計画では、2000人収容の大ホールを有する公共のMICE施設の他、147戸の分譲マンション、ホテル機能を備える複合施設、外壁に市特産の大谷石を使った広場などを2022年8月の供用開始を目指して整備する。工事着手は2019年度中の見通し。
宇都宮市は、JR宇都宮駅東口地区のPPP(公民パートナーシップ)再開発事業で、野村不動産を代表とする「うつのみやシンフォニー」を優先交渉権者に決定した。2018年7月下旬に基本協定を締結し、2018年12月に建設後に市の所有となる公共施設の売買契約を取り交わす。
うつのみやシンフォニーの提案内容は、「うつのみや」を世界都市にするまちづくり―全てをつなぐネットワークハブ構想―をコンセプトに、民間施設と公共施設を分棟方式で建設する。
各施設の規模は、民間施設は、14階建てと、25階建ての複合施設、6階建ての高度専門病院、20階建て分譲マンション(147戸)で構成。複合施設は、14階建てが1〜5階に商業、5〜14階に宿泊機能を整備。25階建ては、2〜5階に教育・子育て・金融の生活サポート、6〜12階にオフィス、14〜25階にホテルを配置する。ホテルは、催事の主賓も泊まれるグレードの高いシティータイプになる予定。
公共施設は、4階建てのコンベンションホールを核に、3階建て交流広場、3階建て市営自転車駐車場(自転車2379台、バイク184台)を建設。コンベンション施設は、1階の大ホール(収容人数2000人)の他、小会議室(同80人)×8室、2階に大会議室(同308人)×2室、3階に中ホール(同700人)、4階に小会議室(同97人)×2室。交流広場と連続性を持たせ、3×3バスケットボール大会や新車展示会などの屋内外を活用した一体的なイベント開催をを行う。交流広場は東西自由通路や2018年5月28日に起工式が執り行われたLRT(次世代路面電車)の停留場の両方からのアクセスを確保する。また、交流広場を囲む外壁には、市特産の大谷石の活用や交流広場への水盤設置、百日紅などの植栽といった緑化も計画されている。
全体の事業費は387億円で、うち市の負担額は105億円。内訳はコンベンション施設に96億円、交流広場に3億円、自転車駐車場に6億円がそれぞれ充てられる。民間分はおおよそ282億円。
うつのみやシンフォニーの構成は、テナント賃料や駐車場利用料などを得る民間施設所有者、公共施設の設計・施工会社、コンベンション施設の指定管理者の合計16社から成る。民間施設の所有者は、北関東綜合警備保障、住友商事、JA三井リース建物、ビッグ・ビー、脳神経脊髄脊椎外科サービス。公共施設の設計はアール・アイ・エー、AIS総合設計、隈研吾建築都市設計事務所。施工は中村土建、前田建設工業、増渕組、渡辺建設。コンベンション運営は五光宇都宮店、コンベックス、JTBコミュニケーションデザイン、野村不動産パートナーズ。
着工は2019年度中で、2022年7月の竣工、翌8月の供用開始を予定している。
宇都宮駅東口の再開発事業は、広域かつ多様な交流やにぎわい創出と、都市の競争力や地域経済の活性化に資する高次な都市機能の集積を目的に、民間の企画力や資金を活用するPPP(公民パートナーシップ)によるまちづくりとして実施される。
計画地は、宇都宮駅改札口から約200mの立地で、中央街区約2.3ha(ヘクタール)、南街区約0.4haの敷地面積。現在は餃子店や駐車場などに2019年3月末までの契約で貸し出しており、それまでに更地にして返還される見通し。民間施設の土地は、定期借地方式をベースに、南街区の分譲マンション建設地は売却する。
2018年3月に公募型プロポーザル方式での募集が開始され、4グループから応募があった(1グループは辞退)。提案内容と資格審査、プレゼンテーション審査を経て、2018年6月21日の選定委員会で最終的にうつのみやシンフォニーが選出された。総合審査では、155点満点のうち、優先交渉権者の野村不動産グループは134.80点、Aグループは116.70点、Bグループは102.21点だった。
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