大成建設はBIMを活用した配筋検査を効率化させるシステム「T-BIM Inspection」を開発し、実証実験を行った。
大成建設は2018年5月31日、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)データをクラウド上にアップし、現場でタブレット端末に表示させて、設計部門の配筋検査を効率化させるシステム「T-BIM Inspection」を開発した。既に実証実験を行って、その有効性を確認し、今後現場での導入を行っていくという。
T-BIM Inspectionは、BIMデータで作成した図面をクラウド上に蓄積して、背筋検査に活用するシステム。現場では、タブレット端末上の検査対象部位をタップするだけで、断面リストや検査に必要な項目が表示され、万一、配筋などに誤りがあった場合は、素早く問題箇所を抽出できる。これまでの様に図面を何枚も持ち歩く必要が無くなり、タブレット端末があれば、誰でも的確に検査を行える。
配筋検査は、鉄筋コンクリート造の工事で、鉄筋が正しく配置されているかどうかを図面と見比べて確認するもの。建物の耐久性や強度に関わる重要な作業で、これまではベテランの監理者が豊富な知識や経験に基づき、検査項目を選んで行っていた。
T-BIM Inspectionでは、検査項目をあらかじめ設定しておくことで、誰でも熟練監理者と同レベルの検査を行えるようになる。タブレット上の平面図から検査部分をタップすることで、検査項目が表示されるため、後は現場の鉄筋と見比べて、検査結果や是正処置などの指摘事項をタブレットに入力するだけで完了する。経験の浅い技術者にとっては、検査で何が必要かを知ることでスキルアップにもなる。
検査項目のチェックや指摘事項を入力すると、検査箇所や内容、時刻の履歴がクラウドサーバに記録され、迅速に報告書を作成することができる。指摘事項に対して、どの監理者が、いつまでに是正を完了すべきかを指定することも可能で、作業予定者には通知が届く。
その後の是正処置の進捗(しんちょく)状況や処置完了までの詳細な作業履歴も管理することができ、検査から是正処置の完了までに要していた時間は、約15%短縮されたという。
設計部門における工事監理は、建築工事が設計図書通りに行われているかを検査・確認する業務。なかでも配筋検査は、監理担当者の豊富な知識や経験に基づいて検査項目を決めて実施する場合が多く、検査項目を整理して、効率的な工事監理を行う必要があった。
大成建設では、この技術を活用し、配筋検査のみならず、工事監理の的確かつ迅速な対応を行い、より客観性の高い検査・確認業務の標準化を積極的に進め、さらなる高い施工品質の確保に取り組んでいくとしている。
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