三井住友建設は橋梁建設に関するさまざまなデータと各種ICTシステムを1つのプラットフォーム上で、一元的に管理・運用できるシステムを開発。生産性の向上に大きく寄与するという。
三井住友建設は2017年12月、橋梁建設における関連するさまざまなデータと、管理を効率化する複数のICTシステムを連携させ、一元的な管理・運用を可能にするプラットフォーム「SMC-Bridge」を開発したと発表した。設計から施工、維持管理までの一連の情報を、発注者を含むすべての関係者間で共有できる他、施工管理の記録書類となる各種調書を自動作成する機能を備えており、生産性向上に大きく寄与するという。現在進めている、岩手県久慈市における「国道45号夏井高架橋工事」に導入しているという。
測量・設計・施工計画については、無人航空機(UAV)による測量で取得した3Dデータと、橋梁の3Dモデル作成システム「SMC-Modeler」を活用して、完成イメージや施工手順動画などを「SMC-Bridge」に格納し、常時利用できるようにした。
検査作業については、施工管理の記録調書を施工箇所と工種ごとに、視覚的にわかりやすいインタフェースで整理する「調書管理システム」を開発。工事関係者が容易にデータを確認できるようにしている。この他、スマートフォンと自動追尾機能付きの測量機器をで橋梁計測が行える「SMC-Oneナビ」で、計測の管理業務の効率化も図っている。システムに必要な設計データは「SMC-Modeler」から取得でき、クラウドを介して計測結果を自動調書化し、施工場所から直接調書管理システムに格納することも可能という。
現場施工では、GNSS(全球測位衛星システム)を用いたクレーン監視システムで、クレーンブームの位置を、仮想の3D空間上でモニタリングできるようにした。加えて、床版コンクリートの仕上げ精度をAR(拡張現実)技術で“見える化”する「AR床版仕上げ管理システム」を導入した他、可視光通信による施工完了部分の変形モニタリングも実施している。
今後はSMC-Bridgeに格納された各種データを、構造物の維持管理に利用することを検討し、実橋での適用を進めてシステム運用の最適化を図る方針。同時に配筋検測や出来形検測を行う新たなシステム開発を進め、SMC-Bridgeをさらに拡充するとしている。
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