清水建設は、暗い閉所を撮影できる照明付き全方位撮影カメラ架台の販売を開始したと発表した。既に三井不動産リアルティから300台の購入予約を受けているという。
清水建設は、天井裏や床下などの暗い閉所を手軽に撮影できる照明付き全方位撮影カメラ架台「PanoShot R」を開発し、代理店経由で販売開始したと発表した。販売価格は6万円(カメラ別売)。
PanoShot Rは、リコーの全方位撮影カメラ「RICOH THETA」をセットでき、自撮り棒に着脱可能な照明付きの円筒形架台。PanoShot Rは、THETAをセットした状態でもこぶし大の大きさに収まるといい、天井裏を点検する場合には点検口やダウンライトの穴にも挿入が可能という。暗所撮影には、PanaShot Rの側面に設置された指向性LEDライトが点灯し、照明光が4m四方まで均一に到達するという。
また、THETAはスマートフォンによるシャッター操作や撮影画像の確認が可能なため、PanaShot Rを自撮り棒によって点検口から点検箇所まで移動させることで、全方位撮影による遠隔点検が実現できる。
天井裏や床下など、暗い閉所の点検では写真撮影が一般的な作業の一部となる。従来機材によって点検口からカメラを挿入してストロボ撮影を実施した場合、要所の撮影が容易ではないこと、明暗の差が大きく画像の識別度が低くなることから検討に必要な写真の合成には多大な手間と時間を要していた。
この問題を解決するため、清水建設は2014年にPanoShot Rのプロトタイプを開発、基本特許を出願。川崎市知的財産交流会から同特許の実施許諾について提案を受け、それを契機に、川崎市所在の和興計測、岩手電機製作所、津田山製作所の3社と清水建設が共同でPanoShot Rを開発した。
また、開発中に三井不動産リアルティに使い勝手などの検証を依頼。ホームインスペクター(住宅診断士)からの高評価や、同社営業担当者による物件調査の時間短縮、精度向上に貢献できるとする意見もあり同社から300台の購入予約を受けたとする。
2018年4月施行の改正宅建業法によるインスペクション(住宅診断)需要の高まりから、清水建設はPanoShot Rなどの検査支援装置に潜在需要があると予想する。同商品は、住宅販売会社や不動産仲介会社、住宅診断会社、建設会社などを主な販売先として想定し、初年度に700台の販売を見込む。
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