Photonic radiative coolerを組み込んだ冷却システムについて、同大学は試作パネルを製作し、実験を実施。このパネルは四方の寸法が60cmをわずかに超える程度で製作され、パネル内部の冷媒(実験では水を利用)の流速を高めるにつれて冷却能力が上昇したという。
Nature Energy誌に掲載された論文によると、3日間の試験を行い、冷媒を0.2l/min/m2で流した場合、外気温度と比較して3〜5℃の温度低下があったとする。この結果を放射熱流束に換算すると、70W/m2程度となるとのことだ。
また、実験結果から商業ビル屋上に冷却システムを設置した場合の効果についてシミュレーションを実施。シミュレーションは、冷却システムの動作に最も理想的な気候である、ラスベガスに立地した商業ビルの空調チラーなどを本システムで冷却したと想定し、電力量で14.3MWh、21%の電力消費を削減可能だとした。
Fan氏らは研究を進めながら、共同でSkyCool Systems社を設立し、本冷却システムのさらなる試験と商用化を進める構えだ。また、温度上昇によって発電効率が低下する太陽光発電にPhotonic radiative coolerのコンセプトが適用できるとして、同大学では太陽電池セルにコーティングを行う研究も進めている。
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