八千代エンジニヤリングは河川の護岸コンクリートの劣化検知作業を、人工知能技術の1つである機械学習を利用して効率化する技術を導入した。コンクリートの画像から、劣化状況を人の目視検査並みの精度で検知できることを確認したという。
道路や橋など老朽化が進む国内の社会インフラの維持管理に、ITを活用する動きが広がっている。八千代エンジニヤリングは河川の護岸コンクリートの劣化検知作業に、人工知能技術の1つである機械学習を利用して効率化する技術を導入した。ビッグデータ活用サービスなどを手掛けるブレインパッドの支援を受けて行ったもので、目視検査と同等の精度で劣化検知が行えるという。
国土交通省によると、国内には3万5462本の河川がある。その周りには洪水などの災害対策を目的に、護岸コンクリートが設置されている。しかし、設置時期や地域などによって整備形式が異なるため、これらの点検や改修には熟練の技術が必要だった。
八千代エンジニヤリングは、これらの護岸コンクリートの維持管理にかかわる調査・検討業務を請け負っており、現在は人間による目視検査で劣化状況を把握している。しかし、長い河川区間を複数の人間が作業する必要があり、その手間やコスト、さらに作業者によって劣化状況の判断基準にばらつきがある点が課題となっていた。そこで同社はブレインパッドの「機械学習/ディープラーニング活用サービス」を導入し、画像処理を利用したコンクリートの劣化検知の自動化に取り組んだ。
ブレインパッドがコンクリートの撮影画像からひび割れなどの劣化の有無を自動で判断するためのアルゴリズムを開発し、その実用可能性を検証した。劣化検知のアルゴリズムには、Googleがオープンソース化した「TensorFlow」という深層学習フレームワークを活用している。
開発したアルゴリズムを検証した結果、現状の人手による検査と遜色ない精度で劣化を検知できたという。今後は劣化検知の判定プロセスのシステム化を進め、八千代エンジニヤリングが手掛ける他の社会インフラ分野への維持管理作業にも展開も検討していく方針だ。
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