BIMを活用して生産性や建築品質のさらなる向上を目指している竹中工務店。そのテーマは同社の強みである設計施工の一貫方式をBIMで進化させる“設計施工一貫BIM”だ。そのビジョンを体現する大阪市の現場を取材した。川上の設計工程から施工情報を取り込み、大幅な施工プロセスの効率化に成功した事例だ。
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設計施工一貫方式を強みとする竹中工務店。同社は2017年1月1日付けで「BIM推進室」を新設するなど、設計と施工が連動する“設計施工一貫BIM”の実現を掲げ、BIMを活用して生産性や建築品質のさらなる向上に向けた取り組みを強化していく方針だ。
では、設計と施工を貫く“設計施工一貫BIM”とは具体的にどのようなものなのか。そのビジョンを体現する最新事例として、現在、同社の大阪本店が設計施工へのBIM活用を進めている「信濃橋富士ビル」建替工事の現場を取材した。
竹中工務店は数年前からBIM活用を推進してきた。現在は、BIMを利用する際のワークフローや各プロセスごとに作成するBIMモデルの連携フローを確立するなど、BIMを推進するための環境整備が整ってきた段階だという。大阪本店 設計部 設計第1部門 構造グループ長で、西日本 BIM推進WGのリーダーを務める池田英美氏は「BIMの活用にもさまざまなレベルがあるが、現在ではBIMを全く利用しないプロジェクトというのはほぼ無くなりつつある」と述べる。
その上で今後さらに注力していくのが設計施工がより連動する“設計施工一貫BIM”だ。1つのプロジェクトを俯瞰した場合、全体の業務量の多くを占めるのが施工プロセスだ。そこで設計領域だけでなく、施工も連携した設計施工一貫BIMのプロセスを確立することでフロントローディングを進め、施工領域にかかる時間を大幅に削減しようという考えである。
この設計施工一貫BIMの一例となるのが、現在大阪市西区西本町で進めている信濃橋富士ビルの建替工事だ。敷地面積475.42平方メートル、建築面積356.72平方メートル、S造(地下一部RC・SRC造)、地下1階地上11階の塔屋1階建て、延べ床面積4014.19平方メートルのプロジェクトで、先行工事に着手したのが2015年12月1日。新築工事は2016年3月16日から開始し、2017年6月末の完工を予定している。
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