大成建設は千葉工業大学と共同で、遠隔操作型の小型・軽量な探査ロボットにカメラ機構を搭載した建物内の天井裏点検システムを開発した。暗所や、配管、配線などが複雑に入り組んだ空間でも効率的に点検作業を行うことが可能になるという。
大成建設は2017年1月16日、千葉工業大学と共同で遠隔操作型の小型・軽量な探査ロボット「CHERI」にカメラ機構を搭載した建物内の天井裏点検システムを開発したと発表した。これにより狭隘(きょうあい)や暗所、配管、配線などが複雑に入り組んだ空間でも効率的に点検作業を行うことが可能になるという。
大地震による天井仕上げ材の崩落事故などが発生しており、建築物を維持管理するため、劣化診断や耐震診断などの点検作業の重要性が高まっている。一般的な建築物の天井裏内部は、野縁や野縁受けなどの非構造部材により構成されており、狭隘かつ暗所な空間となっている。また、空調ダクト、配管類や照明器具、各種配線などが多数存在し、人が天井裏に入り込み点検することは難しい。そして現在これらの点検作業は主に天井点検口からの目視点検で行われている。防災面の観点からも、こうした点検をより広範囲を詳細に把握できる技術が求められていた。
そこで大成建設と千葉工業大学は、天井裏内部の点検作業用に、千葉工業大学が開発した遠隔操作型の探査ロボットに天井内で撮影可能なカメラ機構を搭載した天井裏点検システムを開発。目視点検だけでは目の行き届かなかったエリアにアクセスできるようになり、各種の映像情報を取得することで、より詳細な点検作業を行うことが可能になるという。
開発した探査ロボットは、野縁や野縁受けなど天井部材の約65mm(ミリメートル)程度の段差を容易に乗り越えながら点検することができます。また、ダクトや配管下の隙間が約100mm(ミリメートル)以上ある場合には、潜り抜けて点検することができる。
探査ロボットおよびカメラは無線LANで遠隔制御する仕組みだ。オペレータが点検状況をモニターで確認し、探査ロボットの移動方向や速度、カメラの向きや画面の大きさなどを、PC上から変えながらさまざまな視野から点検できるようにした。
天井内を撮影するカメラは探査ロボットの前方に搭載。付属したLEDライトを点灯することで、10ルクス程度の少ない光量でも高精度なカメラ映像をリアルタイムに静止画、動画で記録・保存できる。カメラにはリフトアップ機能も搭載しており、最大で300mmまで撮影高さを調整できる。
今後、大成建設と千葉工業大学では、建物点検業務を行う調査会社などと連携を図りながら、天井裏の点検作業について、実際の建物への適用を積み重ね、本格的な実用化を目指す方針だ。
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