ニュース
» 2016年12月26日 06時00分 公開

シンガポールの「国土3Dモデル化計画」、都市のビッグデータ解析がもたらす価値BIM/CAD(2/4 ページ)

[陰山遼将,BUILT]

リアルタイムデータも統合

 都市・国家の問題解決や、行政の効率化といった重用な課題に対処するためとはいえ、シミュレーションも可能な国家規模の3Dモデルを作成するためには、膨大なデータを収集・統合する必要がある。ロー氏は「シンガポールではこれまで各省庁が作成してきたさまざまな有用なデータがある。バーチャル・シンガポールはこうした従来からあるデータをベースとして活用している。その中には2Dのデータも多いが、より効率よく活用できるようにするために、新しいデータベースを作成するのであれば3Dモデルを利用しようと考えるのは自然なことだった」と述べる。

 バーチャル・シンガポールでは単なる都市の3Dモデルを作成するのではなく、その中にさまざまな属性情報を埋め込む。例えば建物であれば建築面積や高さ、日照時間・日射量などの情報を閲覧できる。建物のBIMモデルなどをバーチャル・シンガポールのシステムの中に置くことで、都市の景観や環境シミュレーションを行えるようにする他、建物の上に太陽光発電システムを搭載するといった場合、どの建物にどれくらいのシステムが搭載できるのか、そしてその発電量の予測も可能になるという。シンガポールは、2013年から建築確認申請においてBIMモデルの提出を段階的に義務付けており、建物のBIMモデルを収集できる体制が整っている。

 「バーチャル・シンガポール」のプロジェクト概要(クリックで拡大) 出典:シンガポール国立研究財団
建物だけでなく、その周辺情報を確認することもできる(クリックで拡大) 出典:シンガポール国立研究財団,シンガポール土地管理局,GovTech Singapore,ダッソー・システムズ

 また、このプロジェクトの大きな特徴が、将来のビジョンとして国中から集められたリアルタイム情報も統合しようとしている点である。シンガポールではリー・シェンロン首相が2014年に「国家のスマート化」を目指す「スマート・ネーション」というプロジェクトを発表している。

 このスマート・ネイションの取り組みの一環で、国内のあらゆる場所にセンサーやカメラを設置し、人の動きや、交通状況といった情報をリアルタイムに収集できるようにするという計画がある。こうした国中から集められるリアルタイムデータを、バーチャル・シンガポールに統合していく方針だ。建物やインフラの情報だけでなく、リアルタイムな人の動きや交通状況に関するデータなども統合することで、「もう1つのリアルなシンガポール」が3Dモデル上に形成されるというわけだ。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.