エネルギーを実質108%削減した木造建築、国内初のZEB評価省エネビル

清水建設が設計施工を手掛けた「生長の家 茨城県教化部新会館」(茨城県笠間市)が、国土交通省の建築物省エネルギー性能表示制度「BELS」で一次エネルギー消費用が実質ゼロになるZEBとして国内で初めて第三者評価を取得した。既に確立した技術を活用し、コストを抑えながら実質的なエネルギー削減率を108%まで高めた。

» 2016年11月28日 15時00分 公開
[陰山遼将BUILT]

 清水建設は2016年11月21日、同社の設計施工で2016年2月に竣工した「生長の家 茨城県教化部新会館」(茨城県笠間市)が、国土交通省の建築物省エネルギー性能表示制度「BELS」において、「ZEB」(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)として国内で初めて第三者評価を取得したと発表した。

 BELSは、国土交通省が定めるガイドラインに基づき、評価実施機関が建築物の省エネルギー性能を評価・認証する第三者認証制度。省エネと創エネにより一次エネルギー消費量が実質的にゼロ以下となるZEBの評価・認証は2016年4月1日からスタートした。今回の取得はその国内第1号の認証物件となる。認証は東京建築検査機構が行った。

 生長の家 茨城県教化部新会館は、宗教法人生長の家の支部施設として建設された地上1階、延床面積678平方メートルの木造建物。建築物の高断熱化と高効率機器の採用により、エネルギー消費量を国が定める基準一次エネルギー消費量と比較して50%以上削減した。さらに太陽光発電システムによる発電量を加えると、実質的なエネルギー削減率は108%になるという。自然通風・自然採光を確保する建築計画、太陽熱・地中熱を活用した冷暖房システム、電気自動車を活用した蓄電システムの採用により、省エネを図った(図1)。

図1 「生長の家 茨城県教化部新会館」の評価(クリックで拡大)出典:清水建設

 清水建設によれば、これらの同施設に導入した要素技術は、いずれも既に確立された汎用技術で、高価な特殊設備は用いてないという。既存技術それぞれの特徴を最大限発揮できるよう設備機器のチューニングを最適化し、ZEB化に伴うコスト上昇を抑制した。同社は今後同様のコンセプトによるZEB提案を推進していく方針だ。

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