機械学習でビルの創エネ・蓄エネを最適制御、ZEBを見据えた新型EMS:省エネビル(2/2 ページ)
AHSESは分単位のリアルタイム制御が可能で、今後電力会社が導入する可能性がある「ダイナミック・プライシング」にも対応する。これは、電力の需給状況に応じて、電気の価格を変動させて需要の調整を図る手法だ。この他、非常時の自立電源として、サーバーなどの重要設備にに電力を供給する機能も搭載する。施設利用者などに電力使用状況を分かりやすく伝えるモニター機能も備える(図3)。
図3 モニター画面のイメージ(クリックで拡大)出典:安藤ハザマ
安藤ハザマは2013年4月からAHSESの開発に着手。各種デバイスの検証を経て、2016年3月から自社の技術研究所に導入した。電力需要予測と最適運転計画に基づく電力負荷のピークカット効果が適切に得られていることや、非常用電源として機能することを確認しているという。
今後はさらに改良を進め、発電によって排出される排熱を利用してエネルギー効率を高める「コージェネレーションシステム」を活用したAHSESを構築し、電力と熱の最適供給を目指すとしている。さらに建物間でエネルギーを融通するスマートグリッドの構築も視野に入れる。
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