遠隔操作でもショベルの手応えを伝達、次世代建設ロボットを開発情報化施工(1/2 ページ)

東北大学、大阪大学などの研究グループは新しい建設ロボットの実験機を開発した。遠隔操作でもショベルの感覚をオペレーターに伝える技術や、ドローンを活用した俯瞰映像のリアルタイム生成など、さまざまな新技術を導入している。

» 2016年11月21日 06時00分 公開
[陰山遼将BUILT]

 東北大学、大阪大学などの研究グループは2016年11月11日、一般的な建設機械と比較し、作業性・機動性を飛躍的に高めた建設ロボットの実験機を開発したと発表した。災害現場などでの利用を想定し市販の油圧ショベルを改造したもので、遠隔操作機能の他、ショベルが対象物に触れた際の反力や接触の感覚を操縦者にフィードバックする機能など、さまざまな技術を搭載している。内閣府総合科学技術・イノベーション会議が主導する革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)タフ・ロボティクス・チャレンジの一環として開発した。

図1 開発した建設ロボット 出典:JST

 開発した実験機は、現場の映像を確認しならが、オペレーターが遠隔操作を行うことを想定している。一般的な無人化施工では、建機の周囲にカメラなどを設置して映像を確保する必要があり、確認できる範囲も限定される。そこで今回はドローンを活用して、任意視点の俯瞰画像をリアルテイムに生成できるシステムを構築した。

 一般のドローンは、バッテリの制約から飛行時間が短いため、電線を用いた給電ケーブルから送電を行うことで飛行時間を確保する。霧などが発生した場合でも、透過して映像を取得できる高度な画像処理システムを搭載しており、複雑な地形でもオペレーターが容易かつ安全に建機を移動しやすくした(図2)。

図2 任意視点からの俯瞰映像の提示例(クリックで拡大)出典:JST

 さらに「力覚フィードバック」機能が搭載されている点が大きな特徴だ。遠隔でロボットを操縦するオペレータが、対象物を触っているかのような反力と触覚を感じながら作業が行えるシステムになっている。遠隔操作の高精度化に貢献する(図3)。

図3 力覚フィードバックのシステムイメージ(クリックで拡大)出典:JST
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