地中の目に見えない箇所で行われるため、施工状況を確認・評価できない地盤改良や杭工事。安藤ハザマはこうした施工を可視化できる「3Dパイルビューアー」を開発した。
安藤ハザマは2016年7月、地盤改良や杭工事の施工情報を可視化する「3Dパイルビューアー」を開発したと発表した。出来形や品質の確保、さらに帳票作成などのデータ管理の省力化に貢献する。
地盤改良や杭工事では、品質の確保に加えて出来形の計測が重要になるが、いずれも地中の目に見えない箇所で行われるため、施工状況を目視で確認・評価できない
。そのため改良体の出来形の把握や支持層の変化に応じた補正をリアルタイムに行うことが難しかった。加えて従来の施工管理では、オシログラフの波形や材料使用量などの膨大な数値データの中から、必要なデータを抽出して効率的に評価したり、日報作成のためにデータを入出力したりすることに多くの労力が必要であり、工事担当者の大きな負担になっている。
安藤ハザマではこうした課題に向けて、3Dパイルビューアーを開発した。同システムは「GNSSやトータルステーションを利用した位置誘導機能」と、「改良体・杭の施工情報(施工深度、電流値、スラリー量、地盤性状など)を即時に可視化・評価・記録する機能」の2つで構成される(図1)。
GNSS(汎地球測位航法衛星システム)、トータルステーション、傾斜計を利用した杭位置誘導機能により、キャビン用モニターの表示に従い杭先端を計画した杭芯位置誘導する。目杭のずれやオペレータの誤認識による施工ミスの軽減に貢献する機能だ(図2)。
杭先端の軌跡、電流値、スラリー量、回転数などの情報をリアルタイムにクラウドに集積し、施工状況を3次元で可視化することもできる。専用モニターを通して、地中での杭・改良体の形状を確認可能だ。杭の状態を未施工、施工中、施工後の区分で識別するとともに、進捗状況や地盤抵抗値などを色の変化で表現する仕様となっており、直感的に認識しやすくした。可視化した情報は登録ユーザーであれば、インターネット回線を通じてどこでも確認できる。管理値を越えた場合などは、即時に関係者に通知して異常を共有するといった活用が可能だ。
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