ZEHの推進目標として政府は、2020年までに「標準的な新築住宅」のZEH化を掲げている。しかし、「ZEH」や「標準的な新築住宅」は明確に定義されているわけではなかった。そのため、ハウスメーカーなど業界各社はそれぞれが考える「エネルギー消費が“正味ゼロ”の住宅」を展開してきたが、ZEHとして業界の共通認識があるわけではなく、統一的な評価ができない状況があった。
そこでZEHロードマップ検討委員会では、さまざまな状況を踏まえつつ、まず定性的に以下の通りに定義した。
ZEHとは「外皮の断熱性能等を大幅に向上させるとともに、高効率な設備システムの導入により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギーを実現した上で、再生可能エネルギーを導入することにより、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとすることを目指した住宅」とする
これに伴い、ZEHには新築時に躯体や外皮について高性能なものが導入されることが必要となるが、現在の省エネルギー基準で定められた外皮基準以上の指標がないことが課題となることが分かる。また、住宅で実際に使用されるエネルギーについては、居住者の家族構成や年齢、気候などにも大きく影響を受けるため、設計段階で全てを予測することは困難である。そのため、ZEHロードマップ検討委員会では、ZEHの評価は運用時ではなく設計時で行うという方針を決めた。また対象範囲も既築は除き、新築住宅のみを対象とするようにしたという(図2)。
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