2020年に向けZEH化ロードマップ、「我慢の省エネ」から「快適な省エネ」へ:省エネ機器(4/4 ページ)
ZEHは個人向け商材であることから一般消費者の認知度向上が必須となる。しかし、認定低炭素住宅やスマートウェルネス住宅、LCCM(Life Cycle Carbon Minus)住宅など類似制度が多数存在することから、情報発信が分かりにくくなっている(図4)。
図4 ZEHと他の省エネルギー関連住宅との比較(クリックで拡大)出典:各種資料からZEHロードマップ検討委員会が作成
また、一般消費者にとって光熱費削減以外のメリットが見えにくいため、購買への動機付けが進みにくい課題がある。そのため施主へのインセンティブ付与などにより、新たなメリットを創出することが求められているといえる。
これらをもとに、ZEHロードマップ検討委員会では、具体的な行動計画として、主に国が主体となりと民間事業者や業界団体とが連携して取り組む事業と、業界団体や民間事業者が主体となって国と連携しながら取り組む領域とに分けて、ロードマップを策定した。
具体的には、国が主体となる施策としては、2015年度中のZEHの定義や目標の確立、2016〜2018年度のZEH建築へのインセンティブ付与、2017年度までに中小工務店などの省エネルギ―住宅建築ノウハウの確立、2015年度以降のZEHの広報・ブランド化などに取り組む行動計画を示している。
一方で、業界団体や民間事業者が主体となって取り組むべき問題として、高性能化や低コスト化に向けた標準仕様の検討、ZEH普及の目標設定と進捗管理などの項目を挙げている。
図5 ZEH普及に向けたロードマップ(クリックで拡大)出典:ZEHロードマップ検討委員会
- 目指すは全てが「0」の世界、未来の建物が実現
大林組は2014年4月、東京都にある技術研究所で、国内初の「ソースZEB」を実現するための工事を完了したと発表した。ソースZEBは、一般的なゼロエネルギービルよりもさらに進んだ取り組み。土木建築にかかわる全てのエネルギーを0にしようとする同社のマイルストーンの1つである。
- エネルギー消費が“正味ゼロ”のビル、実現にはまず50%の省エネが必須へ
2030年までに新築建築物の平均でZEBを実現する政策目標が掲げられる中、経済産業省では、エネルギー基本計画に明記されたZEBの政策目標達成のために、ZEBロードマップ検討委員会を開催。ZEBの定義やロードマップなどの検討内容を発表した。
- キーワード解説「ゼロ・エネルギー・ビル/ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEB/ZEH)」
夏になると各電力会社は節電を呼びかける。特に国内のほとんどの原子力発電所が停止した今夏は、各地で消費者が厳しい節電を強いられている。「ゼロ・エネルギー・ビル/ゼロ・エネルギー・ハウス」は、年間に消費するエネルギー量がおおむねゼロになるという建物を指す。実現すれば、無理に節電する必要がなくなるかもしれない。
- 2020年に消費エネルギー「0」のオフィスビルを建てる、既築ビルでは半減に成功
オフィスビルの省エネを進め、太陽光発電と組み合わせると、ビルの消費エネルギー量が実質ゼロになるはずだ。2030年には国内の新築ビルでも、このような取り組みが始まる。鹿島は10年早く2020年に実現する計画だ。さらには新築よりも難しい既築ビルにも適用する。鹿島が採り入れた4つの技術を紹介する。
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