経済産業省では、エネルギー基本計画に明記されたZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の政策目標達成のために、ZEHロードマップ検討委員会を開催し、検討結果について取りまとめた。
ZEHとは「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」のことで、年間の一次エネルギー消費量がネットでゼロとなる住宅を指す。簡単に言い換えると、年間の電気の消費量に対し、太陽光発電などで同等以上の発電を行い、電力の足し引きがゼロになる住宅のことである。エネルギー需給の抜本的な改善の切り札になる他、国際的な地球温暖化対策への取り組みへの貢献度も高いため、その実現には大きな期待が寄せられている。
政府は、2014年4月に閣議決定したエネルギー基本計画において「2020年に標準的な新築住宅で、2030年までに新築住宅の平均でZEHを目指す」という方針を示しており、ZEHの実用化と普及促進を目指している。これらの目標達成のためには、ZEHの現状や課題を踏まえた上でどう対応するかというロードマップが必要となるため、経済産業省では、エネルギー基本計画に明記されたZEHの政策目標達成のためにZEHロードマップ検討委員会を設立し、5回にわたる検討会を通じてロードマップの取りまとめを行った。
技術的にも難しい領域が多いZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)に対し、ZEHは技術的には既に実現可能となっており、ハウスメーカー各社はZEHを商品展開している。また、経済産業省 資源エネルギー庁では、高断熱外皮、高性能設備、制御機構などを組み合わせ、住宅の年間の一次エネルギー消費量が正味ゼロとなる住宅に対し、導入費用を支援する「住宅・ビルの革新的省エネルギー技術導入促進事業(ネット・ゼロ・エネルギーハウス支援事業)」を2012年から推進している(図1)。
つまり、技術開発など実用化に時間がかかるZEBに対し、ZEHは既に技術的な要素は障壁ではなく企業間の調整や経済性などの問題がクリアできれば、普及を推進できる環境にあるということがいえる。
これらの状況の中で、ZEHロードマップ検討委員会では、ZEH普及の課題として「定義」「認知度」「動機付け」の3つを課題として挙げる。
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