太陽光を集めてビルの16階から1階へ、蓄電池で停電時にも電力を止めないスマートオフィス

東京都心の臨海部に自然エネルギーと蓄電池を活用して電力使用量を削減できる地上16階建てのビルが完成した。屋上に設置した太陽光集光装置からビル内の吹き抜け空間を通して1階まで自然光を取り入れるほか、夜間に蓄電池に貯めた電力を昼間に供給して需要のピークカットを実施する。

» 2014年08月26日 11時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]
図1 「豊洲フォレシア」の外観。出典:三菱地所、IHI

 三菱地所とIHIが東京都の江東区に、オフィスと商業施設を合わせた地上16階建ての「豊洲フォレシア」を完成させた(図1)。環境配慮と防災機能を重視して、太陽光集光装置やリチウムイオン蓄電池、72時間の電力供給が可能な非常用発電機などを導入した。

 太陽光集光装置によって屋上から1階まで、吹き抜け空間を通して自然光を取り組むことができる(図2)。プリズムの原理で太陽光を集めて、1階にある商業施設まで照らすことが可能な仕組みで、通常の照明を補完して日中の電力使用量を抑制する。集光装置には太陽光パネルが付いていて、自力で運転できるようになっている。

図2 太陽光集光装置による吹き抜け空間への自然光導入イメージ。出典:三菱地所、IHI

 リチウムイオン蓄電池からは最大で150kWhの電力をビル内に供給することができる。夜間の安い電力を充電して、昼間の需要が増える時間帯に放電する(図3)。夏の午後に電力需要がピークになる時間帯でも1.8%の電力を抑制できる見込みだ。

図3 リチウムイオン蓄電池を利用したピークカットの実施イメージ。出典:三菱地所、IHI

 さらに停電時には1階の商業施設に限定してリチウムイオン蓄電池から電力を供給する。これにより照明が消えることなく、商業施設の利用者を不安にさせないように配慮した。一方で2階から16階までのオフィスフロアには非常用発電機から電力を供給する。停電が発生してから電力を供給できるまでに30秒〜1分程度の時間がかかるが、運転を開始すれば72時間にわたってビル全体に電力を供給できる能力がある。

 こうした環境配慮と防災機能により、豊洲フォレシアには日本政策投資銀行(DBJ)が実施する「DBJ Green Building認証制度」で5段階のうち最高ランクが与えられた。認証を受けることで不動産の価値を高める効果があり、入居者のCSR(企業の社会的責任)にも生かすことができる。商業施設には21店舗が入居して8月29日にグランドオープンする予定で、その後にオフィスフロアの入居が始まる。

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