夏を目前にBEMS(ビル向けエネルギー管理システム)の製品発表が相次いでいる。三菱電機はグループ内のビルテクノサービスと組んで、小規模ビルのオーナーや管理会社向けにBEMSとクラウドによる運用サポートサービスを開始した。
小規模のオフィスビルや工場の多くは、電力会社と「高圧小口」の契約を結んでいる。このタイプの契約では30分単位の電力使用量のピークによって年間の電気料金が変わるため、ピークをうまくコントロールすることがコスト削減に効いてくる。
こうした小規模ビルに向けたBEMS(ビル向けエネルギー管理システム)を、三菱電機と三菱電機ビルテクノサービスが共同で6月1日から販売開始した。これまで大規模ビル向けに販売してきたビル設備管理システム「Facima(ファシーマ)」の低価格版で、「Facima Lite-system II」と運用サポートサービスの「ファシーマサポート契約Lite」で構成する。
このシステムを使うと、時間帯ごとに電力使用量の上限値を設定しておき、それに合わせて空調や照明などを自動的に制御することができる(図1)。電源のオン/オフや温度・照度の設定変更も可能だ。管理者が常に状況を監視して機器を制御する必要がなくなる。
さらにビルに設置したBEMSと三菱電機ビルテクノサービスのファシリティセンターをネットワーク(クラウド)でつないで、前日の実績データをもとに当日の電力使用量の予測も可能になる。最近は電力会社が時間帯別の料金プランを拡充しており、料金が変わる時間帯に合わせて電力使用量をシステムで制御できれば、電気料金を削減しやすくなる。
システムの価格は規模によって変わるため公表されていないが、他社の製品の価格から想定すると、工事費を含めて100万円〜200万円程度になるとみられる。運用サポートサービスは月額1万3000円からである。
両社は1年間で1000件の受注を計画している。ただし国が4月から開始した「BEMSアグリゲータ」には現時点で認定されておらず、今のところ補助金の対象にはならない。
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