飛島建設は、車載式トータルステーションを使って山岳トンネルの切羽後方から余掘りとアタリ量を自動測量するシステムを開発した。測量開始からデータ処理完了までの作業時間が従来の約30分から約6分に短縮した。
飛島建設は2026年8月21日、演算工房と共同で、車載式トータルステーション(TS)を活用した余掘り/アタリ自動測量システムを開発したと発表した。現場検証では、測量開始からデータ処理まで約6分で完了した。
山岳トンネルの掘削作業では、設計の内空断面を確保しながら余掘りを抑える必要がある。従来の掘削形状の確認は職員の目視や経験に依存することが多く、評価が定性的になりやすかった。出来形不足を避けるため余掘りが過大になる場合があり、結果として掘削ずりや吹付けコンクリートの数量増加につながるという課題もあった。
トータルステーションによる測量では切羽形状を定量的に把握できる一方、機器の設置や操作に専門知識を要する。バック点の測量や測量範囲の設定、測量後のデータ処理にも労力と時間が必要だった。
開発したシステムは、TS、自動整準台、専用固定架台、測量/評価ソフトウェアから成る。TSを搭載した車両を所定の位置に設置して測量を開始すると、TSの固定、バック点の測量、測量範囲の設定、切羽素掘り面の測量、データ解析まで自動で行う。
専用固定架台には、エアクッションと電磁石を組み合わせた独自の固定機構を採用した。走行時はエアクッションが路面から伝わる振動や衝撃を吸収し、振動に弱い高精度な測量機器を保護する。測量時には電磁石でTSを架台に確実に固定し、安定した状態に保持する。機器の運搬から、測量、撤収までの一連の作業の省力化を図った。
システムは実際の掘削断面を3D点群として取得し、設計断面と比較することで、余掘りやアタリの位置と量を定量的かつ高精度に評価する。また、取得した3D点群データから断面図や展開図を自動作成。測量後のデータ処理や評価時間を短縮し、掘削形状の確認や次工程の施工判断に反映できる。
山岳トンネルの掘削現場で実施した検証では、従来のTS測量で約30分を要していた機器の設置、バック点の測量、測量範囲の設定、掘削面の測量、データ処理などの一連の作業について、10分以内での完了を目標とした。検証の結果、測量開始からデータ処理完了までの時間は約6分となり、目標を達成した。
取得した3D点群データと設計断面をの比較では、余掘りとアタリを含む掘削形状を定量的かつ高精度に評価できることを確認。切羽に人が立ち入る作業を削減でき、安全性の向上にもつながるとしている。
飛島建設と演算工房は今後、測量準備から掘削面の測量、結果の処理/評価までの一連の作業をさらに自動化し、操作性の向上も図る。取得した測量データを施工管理情報と連携し、掘削精度の向上や施工サイクルの効率化にも活用する。さらに、測量データを継続的に蓄積/分析し、発破パターンの最適化や掘削方法の改善につなげる。
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