日本電気通信システムと竹中工務店は、現場の無線混信の問題をプライベートLTEで解消する「玉掛合図無線システム」を開発した。レンタル会社のアクティオを介して、大規模新築工事現場向けのレンタル事業を開始している。
日本電気通信システム(NEC通信システム)と竹中工務店は、プライベートLTE「sXGP」を活用した「玉掛(たまがけ)合図無線システム」を開発したと発表した。アクティオと協業し、大規模新築工事向けのレンタル事業を2026年5月から開始している。
玉掛合図無線システムは、スマートフォンと屋外型sXGPアクセスポイントを用い、半径50〜500メートル程度の無線通信エリアを構築する。外部ネットワークには接続せず、エリア内だけでグループ通話する構成とした。独自のネットワーク設定により、音声の発話から受信までの遅延時間を約0.2秒に抑えたという。
現場作業員向けには、スマホ画面をワンタップするだけで通話できる操作画面を採用し、低遅延の無線ヘッドセットとの組み合わせにも対応する。
sXGPの採用により、従来の特定小電力無線機で必要だった複数工事間の周波数調整が不要となるため、混信を防げる。レンタル機器は初期設定を終えた状態で提供し、アクセスポイントの設置とスマートフォンの接続だけで利用を始められる。
通常タワークレーンで資材を吊(つ)り上げて移動する際、地上の作業員が吊り荷の安全な位置決めとクレーンの動きをコントロールし、クレーンのフックにワイヤロープなどを掛け外しする玉掛を行い、クレーンオペレーターとの無線による指示や確認を通じて安全に作業を進めている。指示や確認には、トランシーバーなどの特小無線が使用されている。 一方、大規模な工事が近接している都市部では、特小無線の周波数チャネル数が限られているため、複数の工事が同時進行する場合、混信を防ぐための周波数調整が難航し、作業の一時中断を余儀なくされる事態が多く発生していた。
こうした課題を受け、NEC通信システムと竹中工務店は、免許不要のプライベートLTE方式として、周波数効率に優れ、複数プロジェクトの同時運用を実現でき、安定した通信品質を備えているsXGPの特性に着目し、2024年から現場向けの新たな無線通信システムの共同研究開発に着手した。
NEC通信システムは、強みとする通信事業者向けの技術ノウハウを生かしたsXGPネットワークの構築と、専用ネットワークに最適化したグループ通話システムの開発、低遅延化に取り組んだ。一方、竹中工務店は、現場作業員のニーズに基づいた使いやすいユーザーインタフェース、建設現場での基地局の最適な設置方法、実運用における具体的なユースケースを検討した。また、竹中工務店が開発に携わるタワークレーン遠隔操作システム「TawaRemo」との連携の可能性も検討してきた。
両社は、2025年に竹中工務店が施工担当した滋賀県守山市、東京都港区などの建設工事で、タワークレーン玉掛作業での実証実験を繰り返し実施し、改善を図るとともに、実装に向けた課題解決に取り組み、2025年12月〜2026年2月に関西地域の大規模建設工事で長期実証を実施した。TawaRemoと同一現場で併用し、両システムを相互に干渉することなく運用でき、既存の通信システムとの共存が可能なことも確認した。
今後は両システムの連携も視野に入れ、建設作業の効率化と安全性向上を目指す。
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