8800人が訪れた建機のテーマパーク 「ミライ建機ランド」で体感する建設現場の未来i-Construction 2.0(2/3 ページ)

» 2025年12月22日 19時35分 公開
[松永弥生BUILT]

山岳トンネル工事の自動化/遠隔化を実現する「ニュースコーピオンGDX」

 圧倒的な存在感を放っていたのが、巨大建機「ニュースコーピオンGDX:NSCPI-GDX」だ。山岳トンネル工事の自動化/遠隔化を推進する次世代のエレクター付きコンクリート吹付機(支保工建込とコンクリート吹付をする大型機械)で、本来はトンネル工事用の特殊建機のため、「青空の下で稼働するのは初めて」と担当者は紹介した。

山岳トンネル工事用重機「ニュースコーピオンGDX:NSCPI-GDX」 山岳トンネル工事用重機「ニュースコーピオンGDX:NSCPI-GDX」

 ニュースコーピオンGDXの役割は、コンクリートを強力に吹き付け、構造物の品質と耐久性を確保することにある。熟練のオペレーターは、巨大なアームを正確に操作し、均一かつ強固なコンクリート層を形成する。

 会場では大勢の親子連れが列をなし、作業員と共にGDXのバスケットに乗車。機能説明を聞きながら、巨大なスケールを体感した。バスケットから降りてきた家族連れに感想を聞くと、小学生が「すごく高かったけどあんまり怖くなかったから、何回でも乗りたい」とうれしそうに話してくれた。

多様性を包摂する建設業のビジョン“誰もがオペレーターに”

 建機遠隔化のコーナーでは、操縦体験が複数のブースに設けられていた。遠隔操縦により、オペレーターは現場の暑さや寒さを気にせず、離れたオフィスなどの快適な環境から作業ができるため、労働環境の劇的な改善につながる。トンネル工事や災害復旧などをはじめ、危険な場所に近づかずに済み、安全対策としても極めて有効な技術だ。イベント担当者は「建機遠隔化の技術で、建設業の労働環境が今以上に良くなることを知ってもらいたい」と語った。

 筆者が見学したときは、車いす利用者が操縦を体験していた。最初はラジコン操作の難しさに戸惑っていたが、インストラクター指導の下、目標のカラーコーンにバーを設置できた際は笑顔を浮かべていた。インタビューすると「実は小型重機のライセンスを持っている。こうした重機を腕だけで操作をできるようになり、障がいのある人も建設業で活躍していく未来となればいい」と期待を口にした。

車いすユーザーの方も遠隔操縦で操縦していた 車いすユーザーの方も遠隔操縦で操縦していた

 こうした展示が示すのは、建機操作の技術進化が、身体的な制約を超えたインクルーシブな未来につながるというビジョンだろう。操作性の改善や遠隔操作技術の発展は、体力の多寡や身体能力にかかわらず、誰もが建設現場で活躍できる可能性を広げる。業界のイメージ変革を目指す本イベントの狙いとも強く結び付く、重要なメッセージだと感じた。

子どもたちも操縦にチャレンジ 子どもたちも操縦にチャレンジ

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