2024年1月に販売を開始したLightning BIM ファミリ管理は、BIMデータのサイズや品番などの属性情報を持つファミリを一元管理するためのRevitプラグインだ。
Revitでは、初めからソフトに組み込まれている標準的なファミリの他にも、ユーザーが独自に部材パーツを作成していることが多い。ただ、その管理方法が問題だった。
RevitでBIMモデルを作成する際は、複数のオペレーターが分担して当たる。それぞれのオペレーターが作成したファミリやファミリが持つ属性情報のパラメーターが各PC上でバラバラに保存されているとチーム内で共有できない。過去のプロジェクトで使われたファミリも、他のプロジェクトで使えるようにあらかじめ管理されていないと、有効活用されずに埋もれてしまう。
Lightning BIM ファミリ管理は、こうしたファミリ管理の環境を改善し、これまでの直線的な連携から組織全体での全展開を実現する。
Lightning BIM ファミリ管理はファミリをクラウド上で保管し、Revitユーザーはファミリのデータをワンクリックでアップロードするだけで、チーム内で常に最新のファミリを共有できる。
BIMマネジャーはWebブラウザを使って一元管理し、プロジェクト内でファミリの標準化が可能になる。クラウド上ではファミリのデータを精査し、データの更新や編集、削除などプロジェクトに必要な情報を選定できる。
通常はネットワーク上に“共有フォルダ”を作成し、プロジェクトで使うファミリを格納している。ファミリを使う際はオペレーターが共有フォルダから目的のデータを探して、自分のPCに一度ダウンロードする必要があり、抜け漏れが発生する要因となっていた。また、作業が進むと、手元のファミリと共有フォルダ内で更新されたファミリのバージョンにズレが生じ、整合性が取れずに再度ダウンロードし直すなどの手戻りが起きていた。さらに共有パラメーターの変更時は、全てのファミリを修正する必要があり、膨大な作業とコストとなってしまう。
その点、Lightning BIM ファミリ管理は、BIMマネジャーが承認した最新のファミリにRevitのプロジェクト上で直接アクセスするため、煩わしいコピーや移動がなくなり、バージョン違いなどの間違いも起きない。クラウド上のファミリと簡単操作で同期するために更新ズレもなくなり、手戻りが解消される。
Lightning BIM ファミリ管理の導入により、ファミリの属性情報を手入力からクラウドのデータ連携へと変更することで作業時間が30%削減する。BIMマネジャーからの指摘事項に対する修正や確認作業でも、80%の短縮が見込めるという。
Lightning BIM ファミリ管理の利用料は、サブスクで年間3万円(税別)。
Arentのブースでは他にも、プラント業界向け自動配管ソフトウェア「PlantStream(プラントストリーム)」や生成AIのB2Bプラットフォーム「BizGenie(ビズジーニー)」をPRした。PlantStreamは、直感的なプラント3D設計のユーザーインタフェースを目指し、千代田化工建設とArent子会社のPlantStreamが共同開発した。1本4時間掛かっていたモデリング作業が、最短の配管ルートを自動作成する“自動ルーティング”で1000本の配管を1分で可能になり、空間設計の工数にして約75%がカットされる。初期設計から正確な資材数量や工事数量などコスト算出のためのデータを取得し、フロントローディングで精度の高いコスト計算が実現する。
BizGenieはChatGPT、Claude、Geminiなど、最新の生成AIを切り替えながら利用できる生成AIサービス。建設業界での想定用途としては、条件入力だけで設計プラン生成をはじめ、法令関係の検索と確認、使用や材料をもとにしたコスト計算、規模や要件に応じた最適なスケジュール提案などが見込まれている。
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