竹中工務店は、緑地の樹木の種類や配置を最適化して建物外構の環境性能を向上させるシミュレーション技術「Optree」を開発し、東京都国立市で2024年11月に竣工した「朝日生命国立社宅計画<あさひの杜国立>」に初適用した。
竹中工務店は2025年1月22日、樹木の種類や配置を最適化し、敷地内の緑地に良好な暑熱/風環境や緑豊かな景観を効率的にデザインするシミュレーション技術「Optree(オプツリー)」を開発したと発表した。新技術は2024年11月に竣工した東京都国立市の「朝日生命国立社宅計画<あさひの杜国立>」に初適用した。
Optreeは、環境シミュレーションと最適化技術を組み合わせて、建物外構の環境性能を向上するシミュレーション技術。敷地形状やコストなどのさまざまな制約条件を踏まえ、環境性能が高いデザイン案を効率的に提案できる。
Optreeでは、まず、樹木の大きさや植える場所を設定して3Dモデル(樹木配置モデル)を生成し、次に温熱/風/景観などへの効果をコンピュータで計算する環境シミュレーションを実施。その後、高い評価が得られた出たパターンを基に、最適化アルゴリズムを使用して樹木配置を改良する。樹木配置モデルを設定した後は、コンピュータが自動的にこのプロセスを繰り返し、最適な樹木配置を効率的に見つけ出す。
新技術を適用した朝日生命国立社宅計画では、緑豊かな環境づくりに加え、居住者用菜園の日照確保、植栽コストの低減が求められていた。竹中工務店は、Optreeにより1000本超の樹木の配置パターンを約500ケース検討。10日間程度で最適解を導き出し、最適化を行わない場合と比較して緑視率(視界に含まれる緑の割合)は15%、菜園の日射量は7%増加した一方、植栽コストは2.2%削減できた。
緑地のデザインは樹木の配置パターンだけでも組み合わせは膨大だが、新技術は環境性能の高い案を優先的に評価し、全体の1%未満の検討数で最適な案を導き出せるという。従来の設計手法と比較して100倍の速度でシミュレーションし、膨大なデータの中から最適解を精緻に分析することで、ユーザーの求める環境性能を実現したランドスケープの創造を支援する。
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