鹿島建設は、建設資材の運送を効率化するマッチングアプリの運用を開始した。また、物流センターを中継する資材運送システムの実証を行い、約6割のCO2削減効果を確認した。
鹿島建設は2023年12月26日、運送会社と建設現場で作業する協力会社をマッチングし、資材運送を効率化するアプリの運用を開始したと発表した。また、物流センターを中継して資材を運ぶ新たな物流システムの実証を行い、CO2排出量を従来比で約6割削減できたことを明らかにした。
今後はこれらの仕組みを全国の現場に導入して「物流の2024年問題」の解決を図るとともに、環境に配慮した運送を推進する。
車両の可能積載量を無駄なく活用するには、綿密な計画を立案し、現場で作業する協力会社と運送会社が調整を行う必要がある。鹿島建設は今回、ヤマトホールディングス傘下でグループ内の情報システム構築を担っているヤマトシステム開発と共同で運送マッチングアプリを開発し、運用を開始した。
アプリでは、協力会社が調達する資材の種類やスケジュールなどの情報と、運送会社が入力した車両サイズや配送ルート、合積みと帰り荷の状況などが、同じ画面で共有される。両者の情報を一元管理することで、運送の際に発生していた空間や重量のロスを明らかにし、低積載を解消する調整を容易に行える。
また、現場から搬出したい資材があれば、運送後に空荷となる車両に対し、帰路上にある資材置場に運送するようマッチングするといった活用も可能だ。
さらに鹿島建設は、各資材メーカーから建設現場までの資材運送の効率化を目的に、物流会社であるセンコーの協力を得て、新たに物流センター中継システムを構築した。
資材の製造元は遠方にあることが多く、大型車両による一括運送が効率的とされている。一方で多くの現場には大量の資材を保管するスペースがないのが実情だ。今回構築したシステムでは、資材を製造元から大型車両で物流センターまで運送して一時保管し、工事のタイミングに合わせて小型車両で現場に運送する。
多様な資材を搬入する現場の効率化にも有効で、例えば集合住宅の工事を行う場合、物流センター内で住戸ごとに資材をまとめて梱包してから現場に運送することで、現場内での仕分けや運搬作業を最適化する。
鹿島建設が2023年4月から、システムを横浜市内の集合住宅工事現場に導入したところ、CO2排出量を従来比で約60%削減できたという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.