国土交通省は2022年3月、国や地方自治体が発注する小規模な公共工事でのICT施工に向けた「実施要領」を公表した。そのため今後は、小規模現場でもICT建機の利用拡大が期待されている。一方で、小規模の公共工事を担う中小建設企業からは、主に高額なコストを理由に、ICT建機の導入に消極的な意見も少なくない。トプコン担当者は「杭ナビショベルは、普段使いの杭ナビと小型ショベルを活用するものなので、導入のハードルを下げられる」と利点をアピールした。
トータルDXソリューションのエリアでは、現場管理DXを強力に進めるサービスとして、リアルタイム施工マネジメントシステム「Sitelink3D v2」を展示。クラウドを介して文字通り“リアルタイム”で施工現場と事務所をつなぐサービスだ。施工状況や事前登録した建機のオペレーター画面を現場から離れた事務所で共有することで、遠隔からの現場サポートが可能になる。
クラウドサービスにトプコンが注力する背景には、建設業界のICT活用に見られる特徴的な動向があるという。ブース責任者は、「国土交通省のイニシアチブもあって、建設業のICT活用は、(次の段階となる)DXの領域へと広がりを見せている。クラウド活用を展示の柱の1つに設定したのはそうした理由からだ」と、建設DXが進みクラウドによるデータ共有基盤の重要が高まっていることを説明する。
次世代インフラメンテナンスのコーナーでは、インフラの維持管理を“楽”にするサービスを紹介した。
昨今日本では、自然災害の甚大化やインフラ老朽化の対策が社会問題となっている。ブースでは、ICT切削ソリューションとして、自動追尾トータルステーションを活用する「LPSシステム」、人工衛星からのGPS情報とゾーンレーザーによるミリ単位の高さ情報を組み合わせて重機を操作する「mmGPSシステム」、現況面データと設計データの差分をRTK-GNSSと計測センサーで読み取り、切削機を自動制御する「RD-MCシステム」などを提案した。
トプコンのポジショニングビジネスにおけるアジア統括事業会社のトプコンポジショニングアジアが、衛星データソリューションサービスの販売パートナーシップを締結したSynspectiveの「地殻変動モニタリングサービス LDM」に関する情報も披露した。意図について、担当者は「衛星を使ったランドスクリーニング・サービスというと、JAXAや国のプロジェクトといった印象を持たれがちだが、実は民間レベルでも身近な技術になっていると喧伝(けんでん)するのが目的だ」と話す。
他にもAIを活用して橋梁(きょうりょう)点検をサポートする「AI橋梁診断支援システム Dr.Bridge」(BIPROGYと日本海コンサルタントとの共同事業)をパネルで解説していた。
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