自律飛行型ドローンのリアルタイム映像伝送サービスの提供開始、NTTドコモドローン

NTTドコモは、Skydioの自律飛行型ドローンに備えたカメラで撮影した映像をリアルタイムに遠隔地の多拠点で確かめられる映像伝送サービス「Skydio Streaming」の提供を自治体や企業向けにスタートした。なお、NTTドコモの調べによれば、今回の取り組みは国内初だという。

» 2022年08月15日 09時00分 公開
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 NTTドコモは、米国カリフォルニア州に本社を構えるSkydioの自律飛行型ドローン「Skydio2」「Skydio2+」「SkydioX2」が装着したカメラで撮影した映像をリアルタイムに遠隔地の多拠点で確かめられる映像伝送サービス「Skydio Streaming」の提供を自治体や企業向けに2022年6月21日に開始した。

Skydioのドローンは自律飛行技術や安定飛行技術を搭載

 これまでSkydioのドローンは、搭載されたカメラで対象のエリアを撮影後、機体から手動でデータを抜き出さなければならないため、撮影データの確認やクラウドなどでのデータ共有に時間がかかっていた。こういった状況を踏まえ、国内の自治体や企業では、災害時でもリアルタイムに映像を伝送できるサービスのニーズが多数あった。

 そこで、NTTドコモはSkydio Streamingを開発した。Skydio Streamingは、PCのWebブラウザを介して、Skydioのドローン管理サービス「Skydio Cloud」にアクセスすることで、飛行中のドローンに装着したカメラが撮影している映像を遠隔地からリアルタイムにチェックすることが可能。そのため、Skydio Streamingを利用することで、手作業でデータを共有する手間と時間が不要となり、ドローン活用の幅が広がる。

「Skydio Streaming」のサービスイメージ 出典:NTTドコモプレスリリース

 具体的には、NTTドコモが運営するクラウドサービス「docomo sky」のサービスメニュー「技術検証」として受付を2022年6月21日に開始し、2022年8月以降にはdocomo skyのプロダクトメニュー「オプション」として提供を開始する。技術検証では、顧客が希望する場所でdocomo skyの有用性を検証し、想定される業務で使用できるかを事前に確かめられる。

 Skydio Streamingのメリットは、災害現場など、人が立ち入ることが困難なエリアの状況を、ドローンにより撮影することで遠隔地にある災害対策本部や事務所から安全かつ迅速に見られる点。

 加えて、災害時の橋梁(きょうりょう)下など、従来のドローンでは被災状況のチェックが困難だった場所でも、Skydio2、Skydio2+、SkydioX2に取り付けられている、全方位の障害物検知を実現する自律飛行技術やGPSが取得しづらい環境向けの安定飛行技術を用いることでスムーズな飛行を実現するため、幅広く現場の状況を調べられるとともに、関係者間の迅速な情報共有を達成する。

 NTTドコモでは、岐阜県多治見市の国土交通省中部地方整備局多治見砂防国道事務所で、Skydio Streamingの実証実験を2022年5月16日に行っている。実証実験では、砂防えん堤やその上流に位置する渓流をドローンで上空から撮影し、離れた事務所内の会議室で得られた映像を見ることで、災害時などの状況を確かめる際にSkydio Streamingが有効なことが分かった。

芦ノ湖にて飛行中の「Skydio2+」(左)と市之倉おりべ砂防ダムからの映像伝送画面(右) 出典:NTTドコモプレスリリース

 また、2022年6月3日には、箱根町消防署とともに、神奈川県箱根町の芦ノ湖周辺で、遭難者の救助を想定した実証実験を実施。その結果、ドローンで撮影した映像を遠隔地にある消防署内で見ることで、危険な場所での捜索活動での有用性が判明した。

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