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» 2022年06月27日 13時00分 公開

高温排気ガスの拡散状況予測技術を開発、大成建設カーボンニュートラル

大成建設は、オフィスビルなどに併設されている非常用発電機などから発生する高温排気ガスの拡散状況を高精度に予測する技術を開発した。これにより、建物周辺の安全性や住環境(温度や窒素酸化物の濃度など)に配慮した排気計画の策定が可能となる。

[BUILT]

 大成建設は、オフィスビルなどに併設されている非常用発電機などから発生する高温排気ガスの拡散状況を高精度に予測する技術※1を開発したことを2022年6月20日に発表した。

※1 高温排気ガスの拡散状況を高精度に予測する技術:東京大学生産技術研究所大岡龍三教授との共同研究により開発。

安全な発電機の設置場所などで合理的な排気計画の策定が可能

 近年、高層オフィスビルやマンションなどでは、事業継続計画(BCP)対応と災害対策の強化に伴い、建物で活用する非常用発電機の大型化が進んでいる。一方、非常用発電機から排出されるガスは、高温で窒素酸化物(NOx)などの大気汚染物質を高濃度に含むことが多いため、建物と人体への影響を抑える場所に煙突を設置することや排気方向の設定といった排気計画が重要となる。

 これまで最適な排気計画の立案では、高温排気ガスが周囲に及ぼす影響を数値解析により検討してきたが、従来の解析技術※2は、室外機やボイラーで生じる中低温(50〜100度)の排気が対象となっており、非常用発電機などによる高温の排気ガス(500〜700度)は、密度が大きく変化するため、拡散状況を高精度に再現できないという課題があった。

※2 従来の解析技術:従来技術は温度変化による密度変化を考慮することが困難で、高温ガスに働く浮力を温度差に比例する力で近似している。そのため、密度変化が大きい場合には誤差が大きくなる。非常用発電機のような高温排気ガスの場合、温度変化による密度変化を調べられる今回の技術の適用が必要である。

 そこで、大成建設は、建物の周囲に配置する非常用発電機などから発生する高温排気ガスの拡散状況を高精度に予測可能な解析技術を開発し、排気計画技術の確立に向け、実大実験や従来技術との比較により新技術の予測精度を検証し、有効性を確認した。

高層建物に隣接して計画された発電機の煙突による高温排気ガスの状況と周辺への影響 出典:大成建設プレスリリース
発電機による実測を再現したシミュレーション例(発電機から高温排気ガスが定常的に排出された場合の排気ガスと壁面近傍の平均的な温度分布) 出典:大成建設プレスリリース

 今回の技術は、機械分野でエンジン内部の高温噴流解析などで用いられる熱流体解析技術※3を応用し、高温状態での排気ガスの拡散状況を高精度に予測する。

※3 熱流体解析技術:機械分野でエンジン内部の高温噴流解析などで用いられ、高温排気ガスの温度による密度変化を再現し、空気中や近接物の温度分布などを算出。

 さらに、大成建設では、新技術と従来技術を利用し、大型発電機の煙突から排出される高温排気ガスの温度や濃度を、発電機から約1.5〜3.5メートル離れた地点の高さ約5〜8メートルで実測して把握するとともに、排気ガス温度について解析を実施した結果、新技術が高温排気ガスの拡散状況を高精度に予測することを実証した。

 加えて、高温時の密度変化による影響を考慮した解析技術を活用し、非常用発電機で生じる高温排気ガスの拡散状況を事前に予測することで、建物の屋外換気口からの室内流入防止や外壁・ガラスの損傷防止、人体と周辺建物への影響などに配慮した安全な発電機の設置場所および合理的な排気計画の策定を実現する。

 今後は、高層のオフィスビルや商業施設、ホテル、病院で災害対策などに利用される大規模な非常用発電機の配置に際して、建物周辺の安全性と住環境に配慮した合理的な排気計画技術の策定に新技術を使用していく。

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