戸田建設は、茨城大学と共同で、環境負荷の小さい新たな粉じん抑制技術を開発した。新技術は、活用することで、宅地造成などの現場で強風が発生した時に粉じんの飛散を抑え、降雨時には造成法面からの土砂流出を抑制する効果も期待されている。
戸田建設は、茨城大学 地球・地域環境共創機構 水圏環境フィールドステーションの理学博士 熊沢紀之特命研究員と共同で、環境負荷の小さい新たな粉じん抑制技術の開発に着手したことを2022年3月22日に発表した。
宅地造成などを扱う土木工事の作業現場で、強風や工事車両の走行によって発生する粉じんは、作業者が吸引することで健康に悪影響を与え、近隣住民をはじめとする第三者とのトラブルを引き起こす場合もある。
現状の対策としては、車両走行部への鉄板の敷設、散水車による水の散布、防じんネットの設置などが行われている。しかし、こういった粉じん対策は一時的な効果は得られるが、根本的な解決方法にはなっておらず、対策のコストと手間に対して効果が不十分だった。
そこで、戸田建設は、茨城大学 地球・地域環境共創機構 水圏環境フィールドステーションの理学博士 熊沢紀之特命研究員とともに粉じん抑制技術を開発した。
新技術は、正と負の電荷における異なる高分子化合物が合わさった複合体であるポリイオンコンプレックスを適切な濃度に希釈して散布することで、高分子化合物の分子鎖が土壌中の土粒子と絡まりあって固定化し、粉じんの飛散を抑える。
戸田建設の技術研究所で実施した新技術の予備試験では、茨城県内の造成工事現場で採取した土壌(1種類)に開発品を散布し、耐風試験では、未散布と比較して、粉じん飛散量を95%以上削減した。さらに、耐雨試験では未散布と比べて、土砂流出量が5分の1以下に減った。
加えて、国際的に認められた化学物質の基礎試験である「OECDテストガイドライン」における魚類急性毒性試験でその基準をクリアした。
今後は、宅地造成工事現場で、新技術の施工性や屋外における性能の持続性などを確認する実証試験を行う予定だ。また、さまざまな性質の土壌に対応できるように開発品の改良も同時に行い、実用化と製品化を目指す。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.