オムロンは、ビルメンテナンス用のセンサーに関して、これまで部品の単体売りをメインに行っていたが、顧客の課題解消にダイレクトにつながるセンサーの販売を目的に、多様なセンサーモジュール、電源モジュール、オプションモジュールを組み合わせて、ニーズに即したセンシングシステムを提供可能な体制を構築した。
国内のビルメンテナンス会社では、入職者の減少や作業員の高齢化で、人手不足が深刻化している。そこで、オムロンは、多様なセンサーモジュール、電源モジュール、オプションモジュールを組み合わせて、ビルメンテナンス会社などのニーズに即したセンシングシステムを提供可能な体制を構築した。
同社は、住宅、ビル、公共施設、商業施設など、あらゆる建築物を対象とした建築総合展「第6回 ジャパンビルド−建築の先端技術展−」(会期:2021年12月6〜8日、東京ビッグサイト)内の「第6回 スマートビルディング EXPO」に出展し、各モジュールを組み合わせた事例として4つのセンシングシステムを参考展示した他、データ活用プラットフォーム「Facility Log」も紹介した。
会場で参考展示されたセンシングシステムは、「モーター故障検知センサー」や設備の経年劣化を可視化する「カラーセンサー」、地震による建物の被害状況を予測する地震マルチセンサー、顔のカメラ画像から対象者のストレスを推察する「メンタルヘルスセンサー」の4つ。
オムロンの担当者は、「当社では、さまざまなセンサーモジュール、電源モジュール、オプションモジュールをニーズに即して組み合わせたセンシングシステムをユーザーに提供することで、建物に設置された設備の故障や異常事態といったイレギュラーイベントの発生をゼロにすることを目指している。今回の展示会でも、“共にイレギュラーイベントゼロの社会を創りましょう”をテーマに、各モジュールを組み合わせたセンシングシステムを紹介している」と話す。
続けて、「こういったセンシングシステムが持つ強みは、Bluetooth Low Energy(BLE)やWi-Fi、LoRaWANといったさまざな通信規格に対応するモジュールが取り付けられるだけでなく、電源のタイプも有線型やバッテリー型から選べるなど、多様なニーズに対応する点だ。さらに、取得したデータを解析するアルゴリズムを組み込んだ小型のAIチップもセンサー内に搭載可能なため、ユーザーが解析用のクラウドや保存するストレージを保有していなくても、設備が故障した際にアラートを指定の端末に送れる」と補足した。
モーター故障検知センサーは、加速度センサーのモジュールやAIチップ、有線のコンセント、通信モジュールなどで構成され、対象機器のモーターに取り付けることで、故障のリスクを可視化する。具体的には、対象機器が内蔵するモーターの振動を加速度センサーで計測し、AIチップが国際標準化機構(ISO)の基準を踏まえたアルゴリズムにより、モーターの故障リスクを判断した際に、通信モジュールで任意の端末にアラートを送れる。
会場では、新品の扇風機、使い古した扇風機、壊れた扇風機にモーター故障検知ソリューションを装着し、各扇風機が内蔵するモーターの振動を加速度センサーで測り、AIチップがモーターの故障リスクを認識した際に、モーター故障検知センサーと有線接続したPCにアラートを発信した。
「ビルメンテナンス会社は、建物の空調機などにモーター故障検知センサーを装着することで、壊れる可能性があるモーターが分かるため、事前に修理用の部品や交換用のモーターを用意し、対象のモーターが故障した時に迅速に応じられる。また、電池駆動の電源モジュールとLoRaWANの通信モジュールを採用することで、無線でモーターの故障リスクを見える化することも可能だ」(オムロンの担当者)。
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