「後施工部分スリットによる柱の耐震補強工法」が適用範囲拡大、2方向スリットを追加施工

長谷工コーポレーションは、ロンビックジャパンとともに、完全スリットと同等の耐震補強効果が得られる「後施工部分スリットによる柱の耐震補強工法」で適用範囲の拡大を行い、日本建築防災協会の技術評価を更新した。後施工部分スリットによる柱の耐震補強工法は、2011年3月〜2020年9月の期間で、集合住宅や学校などで145件の採用実績がある。今回の技術評価更新を考慮し、長谷工コーポレーションは、同工法の特徴である住まいながら耐震補強が可能な点を引き続きアピールしつつ、長谷工リフォームを通じて、新耐震基準以前に施工されたマンションの管理組合に提案していく。

» 2022年01月13日 13時00分 公開
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 長谷工コーポレーションは、ロンビックジャパンとともに、完全スリットと同等の耐震補強効果が得られる「後施工部分スリットによる柱の耐震補強工法」で、スリットの形状変更や追加など、適用範囲の拡大を行い、日本建築防災協会の技術評価を更新したことを2021年10月1日に発表した。

適用コンクリート強度の上限値を1平方ミリ当たり36ニュートンに拡大

 国内では、柱の耐震性能を向上させる方法の1つとして、地震時に柱の変形性能を改善する手法がある。こういった手法を踏まえて、長谷工コーポレーションは、これまで培ってきたマンションの設計・施工技術に、ロンビックジャパンが保有する耐震スリット施工のテクノロジーを融合し、後施工部分スリットによる柱の耐震補強工法を2011年に開発した。

 後施工部分スリットによる柱の耐震補強工法は、開放廊下側から腰壁とたれ壁付きの柱に高精度の部分スリットを設置することで、完全スリットと同等の耐震補強効果が得られる。さらに、部分スリットを開放廊下側から施工するため、住戸側の壁には影響がない他、居住者の負担を軽減し、住まいながら耐震補強工事が行える。

従来の工法(左)と後施工部分スリットによる柱の耐震補強工法(右)のイメージ 出典:長谷工コーポレーションプレスリリース
後施工部分スリットによる柱の耐震補強工法の施工 出典:長谷工コーポレーションプレスリリース

 また、専用の機械を使用して、部分スリットを施工し高精度に仕上げ、コンクリートをカットし削る工事と比べ、振動や騒音を抑えられ、湿式工法で低粉塵(ふんじん)での施工を可能にした。スリットの長さや条件によって変わるが、機械1台で1日当たり4〜5カ所の施工にも対応する。

 今回の技術評価更新では、既存RC造・既存SRC造を対象に、従来の開口部まで開けたスリット形状を、開口部とスリットの間にコンクリート片を残すスリット形状に変更し、そで壁付き柱の垂直および水平スリットに2方向スリットを追加。

 加えて、既存建物の適用コンクリート強度における上限値を1平方ミリ当たり27ニュートンから1平方ミリ当たり36ニュートンに拡大した。

技術評価更新による変更後のスリット形状(左)とそで壁付き柱の2方向スリット 出典:長谷工コーポレーションプレスリリース

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