大成建設と新潟精機は、建設現場でコンクリート打設前に鉄くずを磁力で取り除く、3タイプの専用棒を開発した。2021年度中には、一般向けの販売も視野に入れている。
大成建設は2021年6月、新潟精機と共同で、伸縮する棒の先端に取り付けた強力マグネットで型枠内などに落ちた鉄くずを効率的に回収する軽量工具「磁取棒(じどりぼう)」を開発したことを公表した。
建設現場の品質管理では、コンクリート打設前に不要な鉄くずが躯体に混入すると施工不良の原因となるため、鉄くず回収は重要かつ必要不可欠な作業となっている。そのため、躯体工事中に型枠内の小さな隙間に落ちた鉄くずを回収することが困難な際は、組み上がった型枠を外さなければならないこともあるため、打設前に鉄くずを効率的に回収する方法が求められていた。
これまで、鉄くず回収を目的とした工具は複数市販されているが、伸縮機能のある既製品は少なく、鉄くずを回収する先端マグネット部分も大きく、密集した鉄筋の隙間に挿入できず、狭い場所での除去は難しかった。
そこで、大成建設と新潟精機は、棒の先端に強力マグネットを取り付け、伸び縮み自在で、小型かつ軽量で扱いやすい鉄くず回収工具として磁取棒を開発。建設現場で発生する鉄くずは形状や重さが異なり多種多様のため、鉄くずの種類や利用状況に応じた品ぞろえとした。ラインアップは、結束線や鉄粉、または鉄板やボルトの回収で使い分ける1号と2号に加えて、その中間程度の磁力を有する3号と、伸縮長および先端マグネットの大きさが異なる合計3種類。
独自の機構としては、持ち手のグリップを前後にスライドさせることで、マグネット磁力のON/OFFを切り替えて鉄くずを回収・解放する仕組みを採用している。
今後の展開では、大成建設の作業所で活用しながら改良を加え、2021年度夏を目途に新潟精機を介して一般向けに販売する予定だという。
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