日鉄興和不動産とオカムラが在宅勤務の実態を調査調査レポート(1/3 ページ)

日鉄興和不動産が運営する研究所「+ONE LIFE LAB」は、オフィス家具メーカーのオカムラが進めるプロジェクト「WORK MILL」と共同で、在宅勤務の実態をリサーチした。調査結果から、今後、在宅ワークに使用するワークプレースは、限られたスペースの中でそれぞれの目的を達成できるバランスが重要になると予想。こういった予測に基づき、日鉄興和不動産は分譲マンション専有部の企画を構築していく方針を示している。

» 2021年03月12日 09時00分 公開
[BUILT]

  日鉄興和不動産が運営する研究所「+ONE LIFE LAB」は、オフィス家具メーカーのオカムラが進めるプロジェクト「WORK MILL」と共同で、在宅勤務の実態を調査し、2021年3月9日に発表した。

 今回の調査は、日鉄興和不動産が担当した「コロナ禍におけるライフスタイル・価値観の変化に関する調査」と「在宅ワークに関するFGI(Focus Group Interview、グループインタビュー)調査」やオカムラが担った「在宅ワーカー実態把握調査」と「ニューノーマルの働き方、働く場アンケート ワーカー編」から成る。在宅ワークに関するFGI調査のみグループインタビューによる調査で、それ以外はインターネットを用いたリサーチ。

 調査期間は、在宅ワーカー実態把握調査が2019年12月23日〜2019年12月25日で、ニューノーマルの働き方、働く場アンケート ワーカー編は2020年7月20日〜2020年8月4日。コロナ禍におけるライフスタイル・価値観の変化に関する調査は2020年9月30日で、在宅ワークに関するFGI調査は2020年12月19日。

 調査対象は、在宅ワーカー実態把握調査が、週1日以上の在宅勤務をする20〜50代の385人で、ニューノーマルの働き方、働く場アンケート ワーカー編は上場企業14社の正社員282人。コロナ禍におけるライフスタイル・価値観の変化に関する調査は東京都や埼玉県、千葉県、神奈川県に住む20〜60代のマンション購入検討者883人(単身)で、在宅ワークに関するFGI調査は、住まいの面積が50平方メートル未満で、住居の間取りが1DKもしくは1LDKの30〜40代(単身)。

「オンとオフの切り替えができない」こと在宅勤務の課題

 在宅ワーカー実態把握調査の結果によれば、「在宅ワークをしていて困っていること、思っていること」に関して、複数回答可能の条件で対象者に質問したところ、「オンとオフの切り替えができない」と答えた人が全体の38.7%で最多。次いで、「特にない」は29.4%で、「集中しすぎて、座る時間が長くなる」は21.6%、「困ったときに誰かに聞けない」は20.5%、「快適に働くための家具が不十分」は17.1%。「仕事に使用した物の片付けが面倒」は14.8%、「快適に働くための設備が不十分」は12.5%、「会社からの補助が無い」は11.9%、「急な業務対応できない」は9.9%、「同居者がいて、電車やWeb会議がやりづらい」は9.9%、「周りの音が気になり、集中できない」は8.3%、「同居者の視線が気になり、集中できない」は6.8%。

「在宅ワークをしていて困っていること、思っていること」への回答 出典:オカムラ

 コロナ禍におけるライフスタイル・価値観の変化に関する調査の結果を見ると、「現在、2020年3月末までの生活と比較して、自分自身の生活に不満を感じているか」と対象者に聞いたところ、「少し不便である」と回答した人が全体の51.3%で半数を超えた。次に、「どちらでもない」は14.6%で、「大変不便である」は14.3%、「あまり不便ではない」は11.7%、「以前と変わらない」は8.2%となった。2020年3月末と比較して、全体の過半数が生活に不便さを感じていることが判明した。具体的には、旅行ができない、人に会えない、外食が難しいなどの意見が寄せられた。

「現在、2020年3月末までの生活と比較して、自分自身の生活に不満を感じているか」への回答 出典:日鉄興和不動産

 「2020年末と比較して、在宅ワークの頻度に変化があったか」という質問では、「感染影響前も今後も在宅ワークの予定はない」と回答した対象者が全体の41.6%で最も多かった。続いて、「感染症影響前よりも在宅ワークが増えてこれからも継続する予定」は25.9%で、「感染症影響前よりも在宅ワークが増えたが今後は減少する予定」は14.2%、「感染症影響前よりも在宅ワークが増えて、今後も増えていく予定」が7.8%、「感染症影響前から在宅ワークであり、あまり変わらない」は5.9%。「感染症影響前よりも在宅ワークが減少し、今後は現状と同じ程度を継続する予定」は2%、「感染症影響前よりも在宅ワークが減少し、今後も減少する予定」は1.6%「感染症影響前よりも在宅ワークは減少したが、今後は増えていく予定」は1%だった。

「2020年末と比較して、在宅ワークの頻度に変化があったか」への回答 出典:日鉄興和不動産

 「在宅ワークにおいて良い点はどこか」と複数回答可能な条件で対象者に聞いたところ、「通勤がない」と答えた人が全体の69.1%で半数を超過した。次に、「移動時間がなくなったこと」は64.6%、「比較的時間が自由なこと」は56.6%、「仕事着を着なくても良いこと」は45.3%、「新型コロナウイルス感染回避の安心感」は43.6%。「ストレスが無いこと」は32.6%、「業務に集中できること」は23.2%、「仕事が効率的にできること」は20.6%、「健康な生活が送れること」は19.8%、「規則正しい生活ができること」は14.5%、「家族との時間がとれること」は13.9%、「特にない」は1.7%。「その他」は1.3%となった。

「在宅ワークにおいて良い点はどこか」への回答 出典:日鉄興和不動産
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