ここ数年、土木工事の測量などで活用が増えている3Dスキャナーも、グループ会社のアイ・エス・ピーが開発した3次元空間設計ソフトウェア「LandForms」と組み合わせ、土量の体積計算に活用している。今までは、現場に穴を掘り、掘り出した土を試験センターまで運搬して、物理的性質や強度、透水性をテスト。掘った穴には、あらかじめ密度が分かっている水を流し込み、体積を計算していた。
しかし、3Dスキャナーであれば、1台現場に置くだけで穴の点群データを取得し、LandFormsで解析することで体積が自動計算されるため、事前準備や人力の測定に時間を取られることが無くなった。
3DスキャナーとLandFormsの技術は、橋の調査にも応用されている。一般的にコンクリート造の橋で、鉄筋の通っている箇所を調べるには、調査員がチョークで地面に書いた鉄筋の線に沿って、スケールを当てて測量し、手書きで記録している。
だが、3Dスキャナーの場合は、現場に機器を設置して点群データを取り、ソフト上で図面に重ね、鉄筋の線を引くだけで済む。これまでのように人を掛けずに、1人だけで測定作業が完了し、省人化となる。
最新の土木テックでは、独自のAIを用いた「画像診断AI」や道路・軌道の異常を診断するビッグデータ共有システム「ROAD-S(ロードス)」などを開発し、社会問題化しているインフラストックの維持管理における問題解決を目指している。
橋梁(きょうりょう)の定期点検のうち、コンクリート床版の診断は、作業員が現場に赴いて目視で確認し、床をたたいて調べているのが現状だ。この手法では、調査員のノウハウに頼る部分が大きく、点検結果が定性的なため、バラツキが生じ、人海戦術のためにコストが増大してしまう。床版の劣化は、内部のクラックに水が入りこむと進行が急速に進むため、水を含んだ損傷を早期に検知する技術の確立が待たれていた。
また、5年に1度の定期点検が義務付けされた道路舗装の点検でも、巡回パトロールや路面性状調査に、専用車両のMMS(Mobile Mapping System)を用いれば、高速で路面状態のデータを得られるが、結局は人がデータを解析するため、熟練技術が必要で結果に個人差が出て、床版1キロあたり1カ月もかかっていた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.