前田建設が鋼製支保工建込みロボットの現場試験を終え、導入効果を確認した。ロボット導入による省人化とICT導入による機械化により、トンネル掘削現場における生産性・安全性・品質の向上が見込める。
前田建設は2019年11月、同社と古河ロックドリル、マックの3社共同で開発した鋼製支保工建込みロボットを現場工事に導入し、効果を確認したと発表した。
鋼製支保工建込みロボットは、トンネル掘削工事で人が切羽で行っていた作業を機械化する技術で、支保工位置ナビゲーションシステム、高性能エレクター、自動建込用鋼性支保工という3つの技術で構成する。九州地方整備局宮崎218号平底トンネル新設工事および東北地方整備局広瀬1号トンネル工事において現場試験を重ねた結果、生産性・安全性向上などの導入効果が確認できた。
最大の効果は作業の大幅な省人化。ワンタッチ式クイックジョイントを使った天端継手締結や、金網と転倒防止用アンカーを事前設置した鋼製支保工を把持しつつ行うコンクリート吹付けにより、作業員の切羽立入が不要となるほか、作業の切羽立入を要せずオペレーター1人のみでの鋼製支保工の位置合わせ作業も可能となる。省人化により切羽肌落ち災害に対する安全性も格段に向上した。
またこれまで人力で行っていた鋼製支保工の位置合わせ作業にICTを活用した機械化を導入したことで、金網の現場設置の省略や吹付けコンクリートと鋼製支保工建込みの並行作業による建込みスピードアップ(従来の約1/3)、定尺長のつなぎ材省略によるカーブ区間の建込み精度の向上など、生産性・品質向上への効果も確認できた。
今後は本技術を活用してトンネル掘削作業のさらなる自動化を構築し、現場の課題である安全性・生産性の向上に取り組んでいく考えだ。
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