熊谷組が開発した建機をVRで遠隔操作する新技術、傾き・振動・音も体感建機自動化(1/2 ページ)

熊谷組は、遠隔操縦室内にいるオペレーターに、VRを介してコクピット内からの視界の他、建機の傾きや振動、音を提供し、搭乗操作に近い感覚で、オペレート可能な安全かつ効率の高い無人化施工が実現するシステムを開発した。

» 2019年11月20日 10時00分 公開
[BUILT]

 熊谷組は、東京工業高等専門学校と共同で、遠隔操作している建設機械の傾きや振動・音を映像と同時にリアルタイムで提供する「無人化施工VR技術」を開発した。

搭乗した状態に近い操作環境をオペレーターに提供

 建機の無人化施工では、オペレーターは、コクピット内からの映像と俯瞰(ふかん)する映像を頼りに、離れた場所の遠隔操縦室で操作することになるが、搭乗操作と比較するとマシンの傾きや振動などを把握することはできなかった。そのため、斜めの状態での掘削作業は、機械の転倒を招くため、水平状態での作業が基本となり、不整地運搬車などの運搬車両の走行でも、日々変化する起伏の多い工事用道路を走行するので、予期せぬ左右の傾斜などで転倒の危険性がつきまとうという問題点があった。

不整地運搬車 出典:熊谷組

 熊谷組が開発した無人化施工VR技術は、通信に同社の「ネットワーク対応型無人化施工システム」と、ベースに東京工業高等専門学校のスポーツ観戦システム「シンクロアスリート」を融合させている。どちらの技術も、内閣総理大臣賞(第7回ものづくり日本大賞)を受賞している。

 システム構成は、建機には、360度カメラと加速度センサーをコクピット内に取り付け、搭乗操作目線での映像と音および建設機械の動き(加速度センサー出力)を記録して配信。遠隔操作室には、遠隔操作のジョイスティックで建機を操作し、建機側で記録した360度映像をモニターとHMDで再生するとともに、建機の動きのデータを基にモーションベースを駆動させる。

「無人化施工VR技術」のシステム構成 出典:熊谷組
360 度カメラの取り付け 出典:熊谷組
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