レポートを細かく見ると、57社のうち、売上高が前年同期を上回る増収は39社(前年39社)で同数。売上高トップの清水建設をはじめ、上位10社は全て前年同期を上回り、スーパーゼネコン4社をはじめ、上位企業は再開発や公共工事などの手持ち工事が後押しした。
一方、利益は粗利が前年同期を上回った増益は30社(前年38社)、減益は27社(同19社)だった。増益から減益に転じた企業が増え、増益企業と減益企業の差は3社。また、営業利益、経常利益、当期純利益は、前年同期までいずれも増益企業数が減益企業を上回っていたが、2019年は初めて減益企業数が増益企業数を上回り、各社の利益水準の落ち込みが顕著となった。
いずれも増収で1兆円企業のスーパーゼネコン4社(清水建設、大林組、大成建設、鹿島建設)は、売上高トップの清水建設、2位の大林組は増収効果で売上総利益が増加。一方、3位大成建設、4位鹿島建設は減益で、スーパーゼネコンでも明暗が分かれた。
5位には分譲マンションや不動産が堅調で売上高を伸ばした長谷工コーポレーションが入り、10位には安藤・間に代わって準大手の西松建設がランクイン。
増収率は、関西地盤で民間建築主体の大末建設の前年比23.8%増で、506億円から626億円となった。前年度からの繰越工事が多く完工高を伸ばした。2位以下は西松建設、戸田建設と続き、9位の三井住友建設までが前年比10%越え。
粗利率は、千葉県千葉市に本社を置く新日本建設が20.0%で、2年連続トップ。57社中、唯一粗利率20%超を維持した。建設業とマンション開発・分譲が経営の両輪で、高い収益力を誇っている。
2位が特殊土木工事に強みを持つライト工業、3位が長谷工コーポレーション。トップ10社中6社が前年の粗利率を下回り、高収益企業でも利益率が低下している傾向が現れた。
粗利率の改善が最も高かったのは、三菱マテリアル系のピーエス三菱で、4.4ポイント上昇。省力化、合理化を推進し、売上原価の低減に努めたことが奏功し、2位の大本組(1.5ポイント増)以下を大きく引き離した。粗利率が改善したのは、57社のうち23社と4割にとどまる結果だった。
また、57社中、経常利益段階までで、赤字はゼロ。当期純損失(最終赤字)を計上したのは東亜道路工業と南海辰村建設の2社のみ。東亜道路工業はアスファルト合板に関する独禁法違反で、損失引当金繰入額を特別損失に計上。南海辰村建設は過去に施工した分譲マンションで、施主との間で訴訟が続いていた案件について、訴訟損失引当金を計上した。
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