本連載では、ヒューマンタッチ総研が独自に調査した建設業における人材動向をレポートする。今回は、2019年5月1日から新元号「令和」がスタートすることを機に、これまで「平成」の30年間で建設業の雇用環境がどの様に変化してきたかをリサーチした。
新元号は「令和」と決まり、平成の30年間もついに幕を閉じようとしています。
今回は、平成30年間の建設業を取り巻く雇用環境の変化を、さまざまなデータを使って振り返ってみたいと思います。
平成30年間の建設投資額と建設業就業者数の推移を見ると図表1となります。
平成元年(1989年)の建設投資額は73兆1146億円(政府部門24兆2813億円、民間部門48兆8333億円)、建設業の就業者数は578万人でした。
時代はいわゆる「バブル景気」の真っただ中であり、平成元年の年末には日経平均株価が3万8957円の史上最高値を記録しました。
このような好景気を背景に建設投資は政府部門、民間部門ともに増加し続け、平成4年(1992年)には83兆9708億円(政府部門32兆3343億円、民間部門51兆6365億円)に達し、建設業就業者数も619万人にまで増加しました。
平成3年(1991年)2月にはバブル崩壊となり景気は後退期を迎えましたが、平成7年(1995年)1月に阪神・淡路大震災が発生したことで、その復旧・復興に向けて建設投資は平成8年(1996年)まで拡大基調にあり、建設業就業者は平成9年(1997年)には685万人にまで増加しました。
しかし、復興需要がピークを超えると、“平成不況”と呼ばれる長い不景気の時代に突入。建設投資は減少の一途をたどり、リーマンショック後の平成22年(2010年)には41兆9282億円(政府部門17兆9820億円、民間部門23兆9462億円)と、平成4年の半分の水準にまで落ち込み、建設業就業者も504万人にまで減少しました。
その後、東日本大震災からの復旧・復興需要を中心に政府部門の建設投資が増加した他、民間部門についても景気回復や東京オリンピック・パラリンピック関連工事により建設投資は拡大傾向となり、平成30年(2018年)には57兆1700億円(政府部門23兆600億円、民間部門34兆1100億円)にまで回復しました。
しかし、建設業就業者は503万人と、建設投資が底を打った平成22年の504万人を下回っており、その結果として、現在では建設業界は厳しい人材不足に陥っています。
建設業の人材需要の強さを示す新規求人数の推移について、厚生労働省の「一般職業紹介状況」でデータを確認できた平成8年(1996年)から平成30年(2018年)までの推移を示すと図表2となります。
阪神・淡路大震災の復旧・復興工事で建設投資が拡大した平成8年、新規求人(年間)は119万9259人でしたが、その後は、増減を繰り返しながら、基本的に減少基調で推移し、建設投資が底を打った平成22年(2010年)には47万196人と、平成8年の半分以下にまで減少しました。
その後は、建設投資の拡大に比例して新規求人も増加し、平成30年には90万5489人にまで回復しています。
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