アジア航測ら「ウェアラブルIoT」を橋梁工事で試行、作業員の健康状態や作業効率を“可視化”:ウェアラブルIoT(2/2 ページ)
安全管理システムでは、移動距離や急激な動きもデータ化し、転倒回数、つまずき回数、衝撃検知回数が管理用PC上に表示される。これにより、転倒事故が発生した際や危険な状況に陥っている作業員を瞬時に把握することが可能だ。
システム概念図 提供:アジア航測
また、心拍数は、健康状態だけでなく、例えば高所作業時に心拍数の変化を知ることで、平静な状態で作業を行えているかどうかなど、作業員の精神状態を確認することにも役立てられる。
さらに、あらかじめ入力してある身長、体重の情報と心拍数を掛け合わせて、消費カロリーを計算すれば、作業負担がどの程度かかっているかなどの判断にも利用できる。
ウェアラブルデバイスによって得たデータは、全てクラウドにアップロードされ、遠隔地の本社や管理事務所など、その場に居なくても、現場状況を一目で確認することが可能だ。
アジア航測の担当者によれば、今回開発したウェアラブルデバイスは、スポーツ選手がパフォーマンスを定量的に評価する技術を建設業に転用したものだという。これまで見ることのできなかった作業員の生体情報をはじめ、安全状況、作業負担の度合いなどが“可視化”されることで、建設現場の安全性と生産性の向上に寄与する。
今後については、「現場の動画などから、AIによって、どの作業が非効率化に悪影響をもたらし、危険が潜んでいるかなどを自動で判断できるような、さらなる安全管理の開発に取り組んでいく」とコメントしている。
クラウド上での平面図と作業員位置図 提供:アジア航測
- ヘルメットにセンサーを取り付けるだけの体調管理システム、2019年春に現場へ導入
戸田建設は村田製作所と共同で、IoTを活用した建設現場の作業者の生体データをヘルメットに取り付けたセンサーで取得する「作業者安全モニタリングシステム」を開発した。センサーデバイスは、作業用ヘルメットに装着するだけで、生体・環境情報を取得することができる。このシステムにより、健康状態を“見える化”することで、現場監督者が適切な管理を行い、作業者の安全確保が確実に行われる労働環境が実現する。
- ウェアラブルで建設現場の見守り、NTT西と鹿島建設が実証
NTT西日本は鹿島建設と協力し、バイタルデータと位置情報を活用する建設作業現場の安全支援サービスの実証実験を開始した。
- ウェアラブルIoTを現場7カ所に導入、長谷工
長谷工コーポレーションは、ウェアラブルIoT「スマートフィット for work」を2018年7月から全国7カ所の建設現場に試験的に導入して、効果測定を行う。
- 立命館が開発した建設向けウェアラブルIoTシステム
立命館大学は2018年6月29日、建設現場向けに開発したウェアラブルIoTシステムの実証実験を熊谷組が施工を担当している大阪市の工事現場で行う。実証実験に先立ち、IoTシステムのプレスセミナーを東京・千代田区の立命館東京キャンパスで開催した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.